伊藤忠商事は1月12日、アイ・グリッド・ソリューションズと連携し、既に推進中の分散型電源プラットフォーム構築実証の第2弾として、既存の太陽光発電・蓄電池・事業所に加えて商用EVも統合連携し、AIにより各設備の最適制御を行うエネルギーマネジメントの実証を2022年1月より開始すると発表した。
伊藤忠商事は2021年6月より、ヤオコーのスーパーマーケット川越的場店において、エネルギーマネジメントシステムを用いた分散型電源プラットフォーム構築を進めてきた。今回の実証ではネットスーパー宅配用車両の一部をEVに置き換え、本プラットフォームへ新たに組み込むことで、下記3点の検証を行う。
1. 商用EVおよびV2H充放電器活用によるエネルギーマネジメントの有効性向上
配送時間外はV2H充放電器を通じてプラットフォームにEVを常時接続し、施設の電力使用状況・太陽光発電システムの発電量状況・蓄電池の充電残量・EVの充電残量・配送スケジュールなどの要素を踏まえた上で、AIがEVの最適充放電を制御。電力ピーク時を避けての充電や、ピーク時を狙っての放電により、太陽光発電と蓄電池のみの場合と比較しピークカット効果を高め、更なる電力料金削減を実現する。また既設の蓄電池に加え、EVもBCP電力供給源に加えることで、施設の災害対応力向上にも努める。
2. 車両情報活用による高度なモビリティとエネルギーの融合
今回、車両についてはAZAPAが開発した、軽自動車規格のコンバージョンEVを使用する。AZAPA独自の車両制御・通信システムから得られる様々な情報を活用することで、より高度なモビリティとエネルギーの融合に取り組む。
3. リユースEV電池の用途拡大
車両には中古EV電池を搭載し、走行性能を含め各種評価を行う。Bluestorageとして、既に事例構築済みの定置型蓄電池用リユースに加え、短距離配送用リユース事例も作ることで、EV電池の循環利用促進に繋げる。
貨物運送用の軽商用車は国内に約800万台あるが、物流における脱炭素化の流れを背景に、今後はEV化が徐々に進むと見込まれている。一方で、適切なタイミングで充電を行わないと予期せぬ電力ピークの発生が懸念され、そのため企業は商用EV導入に当たり、包括的なエネルギーマネジネントも考えていく必要があり、統合制御ソリューションへのニーズが高まっている。
伊藤忠商事は、実証を通じて、まずは比較的早期普及が見込まれる小型商用EVを用いたラストワンマイル物流分野において、車両運用と効果的なエネルギーマネジメントにより経済性を向上させる実例を作り上げることで、分散型電源プラットフォームサービスの機能拡大を進めていくとしている。