伊藤忠商事は6月11日、商用車の自動運転技術開発および自動運転車両を用いた物流サービスを米国・カナダで展開する米国のGatik AI (ガティック・エーアイ/以下、Gatik社)へ出資したことを発表した。
米国では、eコマースの拡大に伴う物流量の急増、ドライバーコストの増加やドライバー不足の顕在化など、物流問題が社会課題の一つになっていることから、自動運転に対するニーズが高まっており、その需要が自動運転技術を進歩させる原動力となって、自動運転タクシーの商用化など、世界に先駆けて自動運転ビジネスが急速に進展していると云う。
Gatik社は、自動運転のソフトウェアのみならず、自動運転車両の全体設計や、試験評価に関するノウハウを有し、既に公道(高速道路並びに一般道路)でのL4商用運行(※)にも2021年~成功。特に「ミドルマイル領域」と呼ばれる物流セグメントに於いては、荷主の中間倉庫間および倉庫と店舗間で、自動運転車両による物流サービスの提供を行う、米国初の唯一の企業であると云う。
経営方針〝The Brand-new Deal~利は川下にあり~〟を掲げ、川下を起点とした成長投資を加速することで事業領域の拡大を図る伊藤忠商事は、米国の自動車分野に於いて、従前より車両・部品の物流事業、ファイナンス事業、小売事業を展開し、川下領域の機能強化を進めてきたが、今回、その一環として、自動運転トラックを用いた物流サービスプロバイダーであるGatik社へ出資した。
<Gatik社について>
– 会社名:Gatik AI, Inc.(ガティック)
– 代表者:Gautam Narang (ゴータム・ナラン)
– 本社所在地:161 E Evelyn Ave, Mountain View, CA 94041 United States of America
– 設立年:2017年
Gatik社は、今後も自動運転バリューチェーン全体の中で求められる様々な機能を構築していくことで、物流業界全体が抱える課題の解決に取り組むと同時に、商用車を活用した自動運転ビジネスの拡大に努めていくとしている。
伊藤忠商事は、Gatik社との資本提携を通じて、米国で取り組む商用車の卸売・販売金融事業などとのシナジーの創出など、川下領域でのバリューチェーンの拡大を図ると共に、米国以外の他地域に於いても、自動運転車両による物流サービスの可能性を追求することで、持続可能な物流の実現を目指していくとしている。
※)L4商用運行:限定された条件下に於いて、全ての運転操作がシステムによって自動化される運転自動化レベル4を活用し、顧客にサービスを提供する商用化を実現した運行を指す。