「ミッレ・ミリア( Mille Miglia/1000ミリア )2024」の選定委員会は4月3日( イタリア共和国ロンバルディア州・ブレシア発 )、今年のレースに参戦する車両リストを正式公開した。今年は33か国から171台の車両が参加する。このうち最も多くの車両が馳せ参じる国は依然イタリアであり、延べ71台の車両が参加する。
そんなミッレ・ミリアには、歴史に裏打ちされた源流があり、それは、かつて1927年から1957年の期間( 第二次世界大戦の1941年-1946年の間は開催が中断された )に於いて、イタリア国内で行われた伝説的な公道自動車レースであった。
当時のコース設定は、イタリア北部の都市ブレシアを出発して南下。フェラーラからサンマリノを経てローマへ到達。そのローマからは折り返して北上しブレシアへ戻る述べ1000マイルを走破することから、イタリア語で、その走破距離を示す1000ミリアことMille Migliaと呼ばれた。
当時の参加車両は、アルファロメオ、ランチア、OM( Officine Meccaniche / オフィチーネ メカニッシュ )、スタンゲリーニ、マセラティ、フィアット、オスカ、ブガッティ、ルノー、アストンマーティン、ベントレー、MG、メルセデス・ベンツ、アウトウニオン( 現アウディ )などがワークス体制やプライベート資格で参戦した。
更に終戦明けの1947年からは、ジャガーやペガソ、フェラーリ、ポルシェ、サーブ、チシタリアなどの新興メーカーや、米国からはるばるリンカーンが参戦するなど、その顔ぶれはより多彩となっていった。
しかし1957年開催時にアルフォンソ・デ・ポルターゴ侯爵( スペイン )が運転するフェラーリが観客を巻き込む大事故が起こし、これを契機にミッレ・ミリアは開催中止に追い込まれた。
以降、中止期間が暫く続いた末の1977年、かつて参戦していた実車と、その関連の同型車のみが参加できるタイムトライアル方式のクラシックカーレースとして「ミッレミリア・ストーリカ( Mille Miglia Storica )」と開催名を改めて復活。
著名な元F1ドライバーなどが開催に華を添えたことから、格式の高いクラシックカーラリーとして毎年開催されることになった。
現在は、日本やアメリカの各地でも、地域実施版のミッレ・ミリアがイタリアの主催者から正式に承認を受けて姉妹版を開催している他。イタリア本国開催のミッレ・ミリアの方は、クラシックカーラリーの最高峰として高い人気を誇っている。さて今年のイタリア本国での開催では、アルファ ロメオからは6C 1750や8Cなどを含む50台、ポルシェ31台、ジャガー27台、メルセデス・ベンツ25台、フェラーリ21台、ブガッティ17台が、6月11日にブレシアを出発し、ルートの中間点にあたるローマには木曜日の夜に到着。そこから折り返してトータル2000km以上を走破し15日土曜日にブレシアへ帰還する予定だ。
優勝を狙うのは、5年連続ないしは4年連続優勝を目論むアンドレア・ベスコ氏やファビオ・サルヴィネッリ氏などが有力視されている。レースは5レグ形式で行われる予定だ。
また最後に近年に於いては、こうしたクラシックレースも炭素中立への関与を求められる。従ってミッレ・ミリアの運営委員会は、これに関わる専門コンサルタントとの協力を経て、カーボンニュートラルを達成するための目標設定も定めていく。
その最初のステップは、 ISO 14067規制に従って2023年時のイベント内のアルペンルートの二酸化炭素排出量を計算することに取り組んだ。そのデータを基に国際的に認められた炭素クレジットの購入と共に、炭素排出削減を組み合わせた炭素管理戦略を実行した。
こうした取り組みによって温室効果ガス排出量の100%を補填。 2023年開催以降の達成目標を掲げると共にイベント全体に及ぶ炭素中立プロジェクトを有益かつ有効なものとした。
従って、以降のミッレ・ミリアは、カーボンニュートラルを目指すサステナブルなイベントとなった。今後も同プロジェクトは、ISO14064規制の原則に従って推し進められ、2022年中のミッレ・ミリアに係る二酸化炭素排出量の分析も行い、走行コース全域でのGHG(温室効果ガス)排出量も確認した。
つまり、来るべき行われる〝ミッレ・ミリア2024〟が目指すべき目標は、更に組織活動を含むイベント全体をサステナナブルなものとしていくことにある。ゆえに今年のミッレ・ミリアには、史上初めてイベント全域の二酸化炭素排出量の実質的な算出と、その課題解決に取り組むことになるという。