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2024年8月23日【ESG】

いすゞ、タイでバッテリー交換式ソリューションの実証へ

坂上 賢治

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バッテリー交換式ソリューション(イメージ)

 

いすゞ自動車、三菱商事の2社は、経済産業省が公募する令和5年度補正予算「グローバルサウス未来志向型共創等事業( 大型実証 ASEAN加盟国 )ⅰ」に共同で応募・採択された。

 

上記、グローバルサウス未来志向型共創等事業は、グローバルサウス諸国が抱える課題を解決することで当該地域の市場の成長力を生かしつつ、〝グローバルサウス諸国との経済連携を強化すること〟、〝事業実施国に貢献すること〟というふたつの目的を達成させること視野に据えている。また併せて実施した取り組みを日本国内のイノベーション創出にも活かし、国内産業の活性化に繋げることも目指している。

 

 

今回、連携を取ってく2社の日本企業うち、いすゞはタイ国内2ヶ所に、主力のピックアップトラックのマザー工場を設立すると共に、これらの部品を現地調達化し、車両の組立・生産を行うなど、強靭なサプライチェーンを構築している。

 

また、いすゞ車両を取り扱う自動車販売会社では、販売・マーケティング活動を通じて、顧客との強固なリレーションを構築しており、商品ラインアップであるトラック、ピックアップトラック共に高い販売シェアを誇るなど、両社はタイの自動車産業の発展・拡大に貢献してきた。

 

こうして、いすゞと三菱商事は1960年代より、長きに亘ってASEAN諸国の自動車産業のハブであるタイで商用車事業を共同で展開してきた。

 

そこで。いすゞは中期経営計画(「Isuzu Transformation – Growth to 2030(Ⅸ)」で策定したマルチパスウェイでのカーボンニュートラル化を進める全体方針に基づき、今後もASEAN諸国、ひいてはタイを中心とした自動車産業を支えるべく、本実証事業の実施国として、両社にとって最重要市場の一つであるタイを選定。

 

より具体的には夷狄には、2025年度からタイ王国に於いてバッテリー交換式ソリューションの導入および電力インフラとの連携によるセクターカップリングⅱ(他産業と連携してエネルギーを無駄なく使う取り組み)の実証事業を進めていく。

 

 

そんな今回の実証事業は、昨年10月にいすゞが、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」で初披露したバッテリー交換式ソリューション「EVision Cycle Conceptⅲ」の実機を活用する。

 

バッテリー交換式ソリューションは、充電済みのバッテリーと数分で交換できるため、バッテリーEV(BEV)を充電することによる待機時間(ダウンタイム)の発生を回避できる。

 

加えて、車両とバッテリーを分離することで、バッテリー単独でのエネルギーマネジメントなどの運用が可能となるため、再生可能エネルギーの効率的な活用など、さまざまな社会課題の解決が期待できる。

 

実証事業にあたっては、いすゞと三菱商事に加え、両社の現地法人で、実際に実証を行う「泰国いすゞ自動車(Isuzu Motors Co., (Thailand) Ltd.)」、「トリペッチ いすゞ セールス(Tri Petch Isuzu Sales Co., Ltd.)」、更にタイならではのカーボンニュートラルへの取り組みをサポートする「Commercial Japan Partnership Technologies Asia Co., Ltd.」の5社が連携して活動を推進していく。

 

いすゞと三菱商事は、「全世界でカーボンニュートラル社会の実現を目指すなか、電動化に向けて多くの課題を抱える商用車領域に於いて、当該実証事業を通じて、バッテリー交換式BEVの普及拡大を図っていくと共に、バッテリー交換ステーションでの再生可能エネルギーの活用など、新エネルギーシステムの構築に取り組みます。いすゞと三菱商事は、タイに於ける商用車事業の更なる発展と脱炭素化に貢献してまいります」と話している。

 

<いすゞの概要>
名称:いすゞ自動車株式会社
設立:1937年4月
代表者:代表取締役 取締役社長COO 南真介
従業員数:単体 8,491名/連結 45,034名(2024年3月末時点)
事業内容:自動車・輸送用機械器具・原動機等の製品およびその部品ならびに関連する資材・用品の製造・販売
WEBサイトhttps://www.isuzu.co.jp/

 

<三菱商事の概要>
名称:三菱商事株式会社
設立:1950年4月1日(創立1954年7月1日)
代表者:代表取締役 社長 中西勝也
従業員数:単体 5,421名/連結 80,037名(2024年3月末時点)
事業内容:地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.(Smart-Life Creation)、電力ソリューションの8グループ体制で、幅広い産業を事業領域として多角的なビジネスを展開。
WEBサイトhttps://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/

 

<泰国いすゞ自動車(IMCT)の概要>
名称:泰国いすゞ自動車/Isuzu Motors Co., (Thailand) Ltd.
設立:1966年4月
代表者:山口哲
従業員数:5,740名
本社所在地:タイ王国 サムットプラーカーン県
工場:サムロン工場/ゲートウェイ工場
資本金:85億バーツ
出資比率:いすゞアジア:71.1%、トリペッチ いすゞ セールス:27.3%、他:1.6%
事業内容:商用車・ピックアップトラックの製造および車両・コンポ・部品輸出卸販売

 

<トリペッチ いすゞ セールス(TIS)の概要>
名称:トリペッチ いすゞ セールス/Tri Petch Isuzu Sales Co., Ltd.
設立:1974年11月
代表者:波多隆
従業員数:744名
本社所在地:タイ王国 バンコク市
資本金:30億バーツ
出資比率:三菱商事:47.1%、トリペッチホールディング:40%、いすゞ:1.3%、他:11.7%
事業内容:商用車・ピックアップトラック・その派生車の販売

 

<Commercial Japan Partnership Technologies Asia(CJPT-Asia)の概要>
名称:Commercial Japan Partnership Technologies Asia Co., Ltd.
設立:2023年10月
代表者:代表取締役社長 中嶋裕樹(トヨタ自動車株式会社 取締役・副社長)
本社所在地:タイ王国 サムットプラーカーン県
資本金:250万バーツ
出資比率:トヨタ自動車株式会社:70%、日野自動車株式会社:10%、スズキ株式会社:10%、いすゞ:10%
事業内容:アジアでの商用車におけるCASE技術・サービスの企画

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。