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2023年7月13日【社会インフラ】

園児が自発的に降車する通園バス置き去り防止アラームを発案

坂上 賢治

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オリジナル楽曲のチカラで、園児が歌いながらバスを降りたくなる新装置

 

TBWA HAKUHODOとバス用機器製造販売のオージは7月13日、共同で通園バス置き去り防止装置「降車確認支援システム」うたうアラーム(国土交通省ガイドライン適合品 認定番号:A-033)を販売する。

 

 

また発売に合わせて装置に使用しているオリジナル楽曲「バスがついたよ ゴーゴーゴー」がApple MusicやSpotifyなどの各種音楽配信ストアで配信開始される他、オリジナルアニメーションをYouTubeへ、楽譜データをオージ社のサイトにて無料配布した。

 

近年、幼稚園や保育園の通園バスにおける園児の置き去り事故が相次いで発生したこと受け、送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置の設置義務化の他、設置に関する補助金の給付が開始された。しかし、こども家庭庁が6月末に行った調査によると、全国の設置率は55.1%に留まっている。

 

受信機

 

そもそも多くの置き去り防止装置は、センサーで車内の園児を感知して知らせるものや、車内の確認を促すアラームを発するものが多い。一方で「うたうアラーム」はオリジナル楽曲を車両内に流すことで、園児たちの自発的な降車と運転者の目視確認につなげる新しい装置となっている。

 

プロジェクトチームでは、園児たちに歌を歌ってもらうことで行動が変わるのではないかというアイデアから、オリジナル楽曲を制作。TVCMやアーティストへの楽曲提供など幅広く活躍する作曲家・福島節氏に依頼し、バスが着いたことを知らせる歌詞と親しみやすいメロディーの楽曲を組み合わせた。

 

送信機

 

その仕組みは、まず車両の運転席周辺に受信機を設置し、車両後方にし送信機を設置。目的地に到着し運転者がエンジンを切ると、受信機にから楽曲が自動再生される。

 

音楽が流れることで園児たちが到着を感知し、楽しく歌いながらバスを降車することで、運転者や保育士の日々の声かけの負担減に繋げていく考えだ。

 

なお園児が降車した後は、運転者が車内の園児の不在を目視で確認しながら車両後方へ移動。車両後方の送信機のボタンを押すと、音楽が停止する仕組みになっている。更に楽曲が流れたまま10分経過すると、車外スピーカーから警報音声が発せられ、園児の置き去りを防ぐ。

 

 

送信機には、園児たちの存在を感じさせるデザインを施すことで、運転者の当事者意識を高め、より安全・安心なものへ進化させた。また送信機は取り付け場所を選ばない無線式。大きな車両でも人の目で車内の隅々までしっかりと見回れるよう、1台の車両に複数箇所設置することを可能にした。

 

ちなみに搭載した楽曲は著作権フリーにすることで、社会全体での通園バス置き去りゼロも目指す試みという。

 

これを踏まえオリジナル楽曲「バスがついたよ ゴーゴーゴー」は、同日よりiTunes Store、Apple Musicなどのプラットフォームから配信を開始。楽曲の魅力を伝えるオリジナルアニメーションもYouTubeにて公開した。

 

 

楽譜もWEB上にて公開した上で、楽曲の著作権をフリーに。これにより、誰でも自由にこの楽曲を演奏・歌唱することが可能にした。

 

TBWA HAKUHODOとオージの両社は、「うたうアラームという装置に留まらず、楽曲を園児や保育士に日常的に歌って頂くことでバス降車の教育にも繋げていき、二度と置き去り事故が起きないような社会づくりに取り組んでまいります」と話している。

 

導入事例
発売に先駆けて、東京都港区の総合スポーツ保育園「biima school(ビーマスクール)芝浦アイランド校」様に製品を導入した。

 

 

<biima school芝浦アイランド校 園長・野辺健一郎様 コメント>
昨今バス置き去りの事案が複数発生している中で、biima schoolでは5重チェックのフローにて対応をしておりましたが、本システムの導入により、より安全な運営が可能となりました。
また、biimaが大切にしているasobiの環境としても、音楽があることにより子ども達もより笑顔で楽しいバス通園を実現できております。本システムが1人でも多くの子ども達に届くことを願っております。

 

<福島節と渚 プロフィール>
音楽プロデューサー/シンガーソングライターの福島節と、娘の渚(9歳)の香川県・直島在住親子ユニット。TV番組『しまじろうのわお!』番組曲「まみむめもったいない」、TVCM『みてね みまもりGPS』、ニッスイTVCM「高純度 EPA篇」など、地方に住みながらもお茶の間で活躍中。

 

<作曲者・福島節氏 コメント>
バス置き去りの問題は一人の親としても見過ごせないものでした。その解決のために少しでも力になれるのであれば、表現者としてこれ以上に嬉しいことはありません。

 

子供たちや先生方、運転手さん、みなさんに覚えてもらって、たくさん歌ってもらいたいので、シンプルで弾むようなメロディを作りました。楽しさと優しさと温かさをもった歌になってほしいという思いを込めました。

 

歌は娘の渚と一緒に歌いました。リズムにのって歌を覚えて、言葉の意味を感じて、ぜひ幼稚園やご家庭でもお子さんと一緒に歌っていただけたら嬉しいです。そして世界からバス置き去りがなくなりますように。

 

製品概要
・製品名:降車確認支援システム うたうアラーム
・品番:GCS-RX023、GCS-TX021、KLE-302
・発売日:2023年7月13日(木)
・価格:オープン価格(受信機×1、送信機×1、車外スピーカー×1)
・製品サイズ:受信機(H103mm×W153mm×D36mm)
       送信機(H70mm×W40mm×D18mm)
       車外スピーカー(H89mm×W65mm×D71mm)
・製品販売先:幼稚園や保育園、小学校や特定支援学校のほか、様々な要望にあわせてオージが販売。
・購入及び取り付けに関する問合せはオージのホームページ

 

 

オリジナル楽曲「バスがついたよ ゴーゴーゴー」<楽曲関連情報>
・配信先URL:https://linkco.re/UPGzv6tS
・楽譜配布先URL:http://www.kk-oji.co.jp/sys/whatsnews/view/32
・オリジナルアニメーション:https://youtu.be/7tGTbPCb83A

 

<歌詞>
バスがついたよ  ブー ブー ブー
ねてるこいない? グー グー グー
みんなでおりよう ゴー ゴー ゴー
うんてんしゅさん ありがとう
あんぜんうんてん ありがとう

わすれものない? ノー ノー ノー
かくれちゃだめよ? ブブブブ ブー
みんなでおりよう ゴー ゴー ゴー

だれかがいないと さびしいな
みんながいると たのしいな
ありがとうっていうだけで
こころがほら ポカポカー
つないだてとてがうれしくて
えがおがほら キラキラー

バスがついたよ バスがついたよ
バスがついたよ ゴー ゴー ゴー
ゴー ゴー ゴー

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。