中日本高速道路(NEXCO中日本)は、OKI、オリエントコーポレーション、ソニーペイメントサービス、中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋、三菱プレシジョン、メイテツコムの試行運用実施会社の6社(表1)と共働で「ETC多目的利用サービスの拡大」の実現に向けて取り組んでいる。
今回、フェリーの運航会社及び荷物運送会社など(表2)の協力の下、「カーフェリーにおけるETC多目的利用サービスの試行運用」を実施する。
今回試行運用を実施する各社は、2013年6月14日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」の中で示された「駐車場等、高速道路以外の施設でもETC等のITS技術が利用可能となる環境を整備し、利便性の向上を図る」という方針に基づき、「ETC多目的利用サービスの拡大」の実現に向けて検討を進めてきた。
検討にあたっては、NEXCO中日本を通じて国土交通省が指導。セキュリティが確保された安全なシステム運用の実現が可能となる目途がついたことから、カーフェリーにおいてネットワーク型ETC技術(※1)を活用した試行運用を行い、一連の技術面・運用面の検証をおこなう。
※1)ネットワーク型ETC技術:遠隔地に設置したセキュリティ機能を有した情報処理機器と駐車場などにおける複数の路側機を通信ネットワークで接続し、路側機で取得した情報を集約させて一括処置することで、ETCカードを用いた決済の安全性を確保する技術。
[試行運用内容]
<場所>
八戸港フェリーターミナル 青森県八戸市大字河原木字海岸25番地
<期間>
2019年3月18日(月)~2019年3月31日(日)
<対象車両>
八戸発17:30、22:00の2便を利用するテーオー運輸の車両
<実施内容>
【現行の乗船手続き】
1.利用者(会社)が事前に乗船予約
2.運転手が車検証を持って窓口へ
3.運転手が乗船申込書に記入
4.運転手が車検証を添えて乗船申込書を窓口に提出
5.フェリー会社が窓口で予約情報と乗船申込書、車検証の車両情報(車長など)を照合
6.フェリー会社が乗船券を発券
7.車両が乗船(乗船口で、誘導員が乗船確認)
8.後日、1カ月分のフェリー乗船料金をまとめて請求し、当該料金を振込
事前に預託金を受領し、乗船毎に当該料金を受領 など(毎月の請求金額取りまとめや、預託金の残高管理業務が必要)
【試行の乗船手続き】
1.利用者(会社)が事前に乗船予約
2.車両が駐車場入口到着時に、ETC無線通信で車載器の車検証情報などを取得
3.システムが車載器から取得した情報と予約情報をもとに乗船申込書を自動印刷
4.運転手が自動印刷された乗船申込書を確認し、提出
5.(省略)
6.フェリー会社が、乗船券を発券
7.乗船時に、ETC無線通信でETCカード番号などを取得し、乗船を確認
8.後日、1カ月分のフェリー乗船料金をまとめて請求し、当該料金を振込
事前に預託金を受領し、乗船毎に当該料金を受領 など(クレジットカードによる模擬決済を実施)
(下線 = 現行からの変更箇所)
<効果>
・利用者:乗船手続の簡素化による利便性向上(運転手が乗船申込書の記入や車検証提示を省略)
・フェリー会社:乗船手続の簡素化による業務効率化(予約情報と乗船申込書、車検証情報の照合作業の削減)
[試行運用実施会社(表1)]
<会社名、業種分類など、主な役割>
– 沖電気工業、情報通信機器メーカー、民間利用のETCアンテナ開発
– オリエントコーポレーション、クレジットカード会社、クレジットカードのスキームを活用した決済
– ソニーペイメントサービス、ソニーフィナンシャルグループ、ETCのクレジットカード決済代行
– 中日本高速道路、高速道路会社、ETC無線のセキュリティを管理(暗号を復号化など)
– 中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋、中日本高速道路子会社、ETCシステムの検証
– 三菱プレシジョン、三菱電機グループ、ETC機器の保守・運営
– メイテツコム、名古屋鉄道グループ、各ETC対応システム機器の連携システム構築
[協力会社(表2)]
<会社名、業種分類など、主な役割>
– 青森県フェリー埠頭公社、施設管理者、ETC機器の設置協力など
– 川崎近海汽船、フェリー事業者、ETC多目的利用サービスの事業者評価
– テーオー運輸、運送事業者、ETC多目的利用サービスの利用者評価