IHIは11月11日、アラブ首長国連邦( UAE )・ドバイ首長国有石油・ガス公社のENOC( Emirates National Oil Company )とUAE・ドバイおよび周辺首長国で再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造・販売の事業性検討・調査で覚書を締結した。
現在市場に流通している化石燃料由来のアンモニアは製造時にCO₂を排出するが、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアの製造が実現すれば発電や船舶用燃料,肥料用原料といったアンモニア利用に係わるサプライチェーンでのCO₂排出量を極めて低く抑える事が可能となる。
またアンモニアは、製造・貯蔵・輸送に係わる技術が既に確立されていることから早期社会実装が期待される。それゆえ当地でIHIによって豊富な太陽光資源を活用した再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造・販売が実現する事になれば、ドバイ首長国初となるグリーンアンモニア事業となる。
これを踏まえENOC・IHIの両社は,ENOC傘下のHTL( Horizon Terminals Ltd. )が複数所有する既設石油ターミナル内にてグリーンアンモニアを製造。これを基礎に日本・アジア市場への輸出や現地での発電・船舶用燃料供給を目的としたアンモニア販売事業を検討していく。
両社の役割はIHIが主に技術的検討と日本での需要調査を担当。対してENOCは再生可能エネルギー・水素源となる水の可用性・サイト選定・適用法規などの現地の調査を担当。これらの事業性評価を行った後、実証プラント建設および運用を目指す。
2023年のCOP28(第28回国連気候変動枠組条約締結国会議)開催国であるUAEは、2030年までのCO₂排出量を31%削減する新たな目標を発表しており、その実現に向けて豊富な土地と日射量を糧に再生可能エネルギーを計画を推進していく構えだ。