出光興産は4月5日、南米・北米・豪州などで合成燃料(e-fuel)の製造を行うHIF Global (以下、HIF)と、合成燃料の生産や日本での実用化・普及を加速させるための戦略的パートナーシップに関するMOUを締結したことを発表した。
合成燃料は、再生可能エネルギー由来の水素と大気中のCO2を合成することで生成される液体燃料。原料製造から製品利用までの製品ライフサイクル全体でカーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を達成するエネルギーとして、また流通にあたっては、貯蔵タンクやパイプラインなど既存のインフラを活用できること、さらに自動車や船舶、航空機のエンジンに手を加えることなく利用できることから、脱炭素化の早期実現策として期待されている。
出光興産では、1月にHIFの実証試験設備であるチリ南部の“Haru Oni”プラントを視察訪問するなど、HIFと合成燃料の早期社会実装に向けた協議を進めてきたが、さらに議論を加速させるため、今回HIFとのMOUを締結。今後、以下の項目について共同検討していく。
・海外プロジェクトからの合成燃料調達および国内供給。
・国内外での合成燃料製造設備への共同出資。
・国内で回収したCO2の国際輸送と活用(原料化)。
併せて、HIFが製造した合成ガソリンのサンプルを入手し、環境影響や性能を確認し、国内での実用化・普及に向けた検討を進める。また、出光興産グループの製油所・事業所での合成燃料生産の検討を進め、2020年代後半までに国内に於ける合成燃料の生産・供給体制を確立することを目指す。
2022年11月に発表した「中期経営計画(2023~2025年度) 」に於いて、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域の社会実装を通じ、事業ポートフォリオ転換を推進することを表明している出光興産では、HIFとの取り組みを、以上の内の「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」の開発と社会実装に向けたものと位置付けて、合成燃料の実用化と普及を促進。2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきたいとしている。