出光興産は11月28日、同社が提案した「使用済み潤滑油のマテリアルリサイクルを実現するための再生基油製造プロセスの構築及びその検証事業」が、環境省の公募事業「令和6年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択されたことを発表した。
対象期間は、2024年度と2025年度の2年間を予定。長谷川インターナショナルと、みずほリサーチ&テクノロジーズ、三井物産、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの協力を得て、使用済み潤滑油の再生プロセスが環境に与える影響を検証し、日本に於ける使用済み潤滑油のマテリアルリサイクルの社会実装を目指すと云う。
※タイトル画像:事業で検討する使用済み潤滑油の再生プロセス。
現在、日本では使用済み潤滑油の大半が熱源として再利用(サーマルリサイクル)されているが、脱炭素化と潤滑油の供給安定性向上の観点から、使用済み潤滑油を再生して、潤滑油の原材料としてマテリアルリサイクルを行う必要性が高まることが予想されていると云う。
そこで、今回の事業では、日本に適した潤滑油の再生プロセスの検討とプロセス毎の環境への影響を評価すると共に、使用済み潤滑油の再利用方法をサーマルリサイクルからマテリアルリサイクルへ円滑に転換するために必要な制度を検討する。
[事業の概要]
1.使用済み潤滑油の不純物を国内の設備で取り除き、当社の潤滑油基油の製造プロセスに加えた場合の技術実証と環境への影響を評価。
2.国内で回収した使用済み潤滑油を、海外で実装されているプロセスを用いて国内で再生する場合の技術実証と環境への影響を評価。
3.1および2の比較。
4.海外でマテリアルリサイクル推進のために導入されている制度の調査を行い、日本でマテリアルリサイクルを推進するために必要な制度を検討。
[共同実施者と役割]
・長谷川インターナショナル:海外の設備における再生プロセスの技術実証。
・みずほリサーチ&テクノロジーズ:基油再生事業の全体に係る資源利用、排水処理、化学物質の使用、CO2排出などの環境への影響の総合的な評価。
・三井物産:海外でマテリアルリサイクル推進のために導入されている制度の調査。
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング:基油再生に係るライフサイクルでの温室効果ガス排出量の算定および基油再生シナリオの分析・評価。
出光興産は、この事業を通じて、潤滑油の再生・リサイクル技術の発展と、製品ライフサイクル全体での環境負荷低減に取り組み、カーボンニュートラル社会および循環型社会の実現に貢献していくとしている。