(3) 成長戦略の検討や規制への対応でも両社の強みを活かし、シナジー効果をさらに拡大するとしている。その取り組みは以下の通り。
・エネルギー供給構造高度化法3次告示対応
・2020年のIMO対応(投入原油の選択、製造設備対応、製品国内外販売等)
・次世代モビリティーに関する事業化検討
・バイオマス発電燃料の共同製造、共同調達
・アジア市場での石油化学、石油下流事業の共同展開
・再生可能エネルギーや火力ベースの電力事業の海外共同展開
(4)組織の融和・人的融和の推進
加えて文化や仕事の進め方等の違いを相互に認識し理解することを目的に、各階層でのワークショップを再開したと云う。
例えば9月には両社長をはじめ約650名が参加する大規模交流イベントを開催する等、1,500 名の計画に対し、延べ 1,700 名近い社員が参加し相互理解を深めたとする。
さらに新たな取組みとしては、11月から人事部門での相互出向を実施。今後各部門へと相互出向を拡大していく予定とする。こうしたことを踏まえた事務所統合に合わせ、来春を目処に約300名の社員が同一事務所で業務を行うとしている。
(5)社会貢献活動の一層の推進
社会貢献活動においても様々な協働を実施している。例えば小学生を対象に東京都と新潟県において「ブライターエナジーアライアンス エネルギー教室」を共催し、芸術分野では出光主催コンサート会場におけるシェル美術賞作品の展示や、シェル美術賞展覧会における出光後援のコンサートなどのコラボレーション企画を積極的に開催する等、今後も社会貢献活動の協業化も加速させていくと結んでいる。
一方で、昭和シェル石油との経営統合に反対する出光創業家は、資産管理会社である日章興産などを介して出光興産の株式を買い増し、同社を含む出光昭介氏ら共同保有者の保有割合を17.37%から18.2%に拡大させている。
もとより先の7月に出光興産が、発行済み株式数の3割に当たる新株を発行して約1200億円を調達したことで結果、創業家の議決権ベースの株式保有割合が26%台に下がっていた。しかし出光美術館と出光文化福祉財団の保有する出光興産株を含めると、現段階での保有割合が微増し28%に達しているとみられる。
但し、昭和シェルとの合併には株主総会で3分の2以上の株主の賛成による特別決議が必要であるため、出光興産経営陣が悲願としている経営統合は、他の株主がどちらに付くかの動向次第となっている。( MOTOR CARS より転載 )