出光興産は11月12日、子会社の豪州ニューキャッスル港でのグリーン水素・アンモニアプロジェクトにおける共同検討・調査の実施について発表した。
出光興産が100%出資する出光オーストラリアの子会社であるIdemitsu Renewable Development Australia Pty Ltd(以下「IRDA」)は、豪州ニューキャッスル港でのグリーン水素・アンモニアに関するプロジェクトにおいて、ニューキャッスル港社(Port of Newcastle Operations Pty Ltd、以下「Port of Newcastle」)およびマッコーリーグループ(Macquarie Group’s Green Investment Group)と、輸出・バンカリング(船舶向け燃料)の実行可能性について共同検討・調査を実施することとし、今回、両社と覚書を締結した。
Port of Newcastleとマッコーリ―グループによるコンソーシアム「H2Newcastle」が主催するこのプロジェクト(プロジェクト名:the Port of Newcastle Hydrogen Hub)では、ニューサウスウェールズ州ニューキャッスル港におけるグリーン電力の利用と外部からの水調達によるグリーン水素・アンモニア等の製造・貯蔵・輸送・販売・輸出等について、2024年以降段階的に事業化する予定。この事業構想には日本への輸出も含まれており、IRDAは短期の事業計画であるフェーズ1の事業化調査・検討の一部に参加する。フェーズ1においては、40MWの電解装置建設によりグリーン水素3.5千トン/年またはグリーンアンモニア20千トン/年の生産が目標とされている。なおフェーズ1に対しては、オーストラリア政府より1.5百万豪ドルの支援を受ける予定。
豪州は、政府による脱炭素化に向けたエネルギー転換が推進されている。また、国土が広く、風況・日照等の気候条件が再生可能エネルギーの創出に適しているため、他地域と比較して安価かつ安定的な再生可能エネルギー製造の可能性に富むことで注目されている。出光興産グループはこれまで豪州において、石炭鉱山の操業を通じ、州政府や現地事業者との良好な関係を構築するとともに、物流などサプライチェーンに関する知見を蓄積してきた。約40年にわたり培ってきたこれらの事業基盤を活用しながら、今後も豪州のエネルギー転換に積極的に対応していくとともに、低炭素・脱炭素事業の創出に取り組む。また、本共同検討・調査を通し、出光興産が目指す将来のCO2フリーアンモニアサプライチェーン構築や低炭素エネルギーの供給に向けた知見を蓄積していくとしている。
■プロジェクト概要
プロジェクト名:the Port of Newcastle Hydrogen Hub
目的:ニューキャッスル港におけるグリーン水素・アンモニア等の製造、地産地消のサプライチェーン拡大、輸出
対象地:豪州ニューサウスウェールズ州ニューキャッスル港
検討開始:2021年10月
■IRDAの共同検討・調査範囲(フェーズ1)
・輸出に必要なインフラ要件
・輸出需要予測
・バンカリングの実行可能性
豪州における出光興産グループの鉱山位置と、低炭素・脱炭素事業に向けた取り組み