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2025年3月17日【イベント】

出光と名鉄、次世代バイオ燃料を使う東海初の旅客バス実証へ

坂上 賢治

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IRDを使用して走行する予定の近距離高速バス

 

軽油対比100%のCO2削減率を示し、環境にやさしい交通環境の実現を目指す

 

出光興産、名鉄バス、名鉄エリアパートナーズの3社は4月1日から、愛知県で次世代バイオ燃料を使用した東海地区初の旅客バスによる公道運行実証を開始する。

 

より具体的には、名鉄バス津島営業所が運行する近距離高速バスに使用する軽油の代替として、ライフサイクルアセスメント( LCA/原料の調達・製造・流通・使用に至る全域 )上のCO2削減率が80%以上、軽油の燃焼に伴うCO2削減率が100%のバイオ燃料 「出光リニューアブルディーゼル」( IRD )」を使用した公道運行実証を行う。

 

利用顧客が乗車した旅客バスによる出光リニューアブルディーゼルを使用した公道実証は、東海地区初。参画3社は同実証を通じて環境に優しい交通網の実現・拡大を目指す。

 

上記の「IRD」は廃食油や植物油等の油脂系原料に水素化処理( 油脂系原料を水素と接触させて不純物を除去する工程 )を介して製造する軽油の代替燃料。

 

公道上での実証を介し、ライフサイクルアセスメント全域を包括したCN運行を目指す

 

同社は、欧州EN 規格( EN15940:2016/パラフィン系ディーゼル燃料の品質と性能基準を定めた欧州規格 )に適合した同リニューアブルディーゼルを海外から調達。独自規格で品質を担保した「IRD」として建設現場の機械向け燃料として使用するなど、公道外での使用に限定して供給してきた。

 

 

そんな「IRD」は燃焼時にCO2を排出するが、植物系油脂原料のため植物の成長過程でCO2を吸収するため、 軽油対比でのCO2排出量は実質ゼロと見なされるカーボンニュートラルな燃料であり、そうした充分な実証を経た上で2024年12月に販売を開始した。

 

今回の実証では、出光興産が名鉄エリアパートナーズを通じて名鉄バス津島営業所に 「IRD」を供給し、名鉄バスが 「IRD」を使用した路線バス1台を運行する。3社はこの実証を通じて「IRD」を使用したバスが支障なく運行できることを確認すると共に燃料の調達から供給・運用・メンテナンスに至るプロセス全域を総合的に検証していく構えだ。

 

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運行概要
・運行営業所 名鉄バス津島営業所(愛知県津島市大坪町)
・運行台数 近距離高速バス1台(運転士を含む定員66名)
・運行時期(予定) 2025年4月1日(火)~2026年3月31日(火)
・運行系統(予定) 名古屋・長島線 (名鉄バスセンター~長島温泉)、 上下線 (片道36km)1日最大4往復
・CO2削減量(推定) 年間約 69トン

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各社の取り組み

出光興産は、多様で地球環境に優しいエネルギーの安定供給に向けた取り組みを進めている。そこで「IRD」の普及を推進するべく安定調達や品質の担保に加え、出光グループの特約販売店ネットワークを生かし、ラストワンマイル(使用する現場を含む最後の区間)までの供給網の構築に取り組んでいる。そうしたなかで「IRD」の公道での使用は今回が全国初の取り組みであり、当該実証を通じて公道での「IRD」使用の課題を整理すると共に、今後は、あらゆる用途での軽油燃焼に係るCO2削減ニーズに応えていくという。

 

また名鉄バスは、カーボンニュートラルへ向けた取り組みとして、ハイブリッドバスや電気バス・燃料電池バスの導入をすすめている。そうした取り組みの一環として今回「IRD」もラインナップに取り入れ、脱炭素社会実現に向けた取り組みを強化。地域社会の持続的な発展に貢献することを目指す。

 

最後に名鉄エリアパートナーズは、 名鉄グループ傘下の様々なCO2排出削減商品の提案と低炭素型燃料の供給を行っている。今後も使用済み食用油の再生・循環等によるエネルギーの地産地消を推進していく構えだ。

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参画会社の概要は以下通り

 

出光興産株式会社
本社 :〒100-8321 東京都千代田区大手町一丁目 2 番 1 号
代表者 :代表取締役社長 木藤 俊一
設立 :1940 年
主な事業内容 :燃料油事業、基礎化学品事業、高機能材事業、
電力・再生可能エネルギー事業、資源事業
ウェブサイト :https://www.idemitsu.com/jp/index.html

 

 

名鉄バス株式会社

本社 :〒450-0002 愛知県名古屋市中村区名駅四丁目 26 番 25 号
代表者 :代表取締役社長 瀧 修一
設立 :2004 年
主な事業内容 :旅客自動車運送事業
ウェブサイト :https://www.meitetsu-bus.co.jp/

 

 

名鉄エリアパートナーズ株式会社
本社 :〒457-0058 愛知県名古屋市南区前浜通七丁目 28 番地
代表者 :代表取締役社長 林 裕二
設立 :1950 年
主な事業内容 :エネルギー事業、商事事業、タイヤ事業、環境メンテナンス事業、
建設造園事業、防腐事業、鉄道事業、ウェルネス事業、 海外人材活用事業、
地域共創事業
ウェブサイト :https://www.meitetsu-ap.co.jp/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。