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2025年1月24日【MaaS】

茨城交通、中型バスによるレベル4自動運転の営業運行を開始

坂上 賢治

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レベル4で営業運行予定の車両

 

日立市の茨城交通( 旧・日立電鉄交通サービス )は去る2013年3月25日、廃線になった日立電鉄線の跡地を利用した「ひたちBRT」を開通させた。以降、段階的に区間延長を繰り返し、2019年4月1日からBRTの本格運行に入っている。

 

ちなみに上記のBRTとは、バスを利用した大量輸送システムを指すBus Rapid Transit(バス・ラピッド・トランジット)の略称。端的には、鉄道路線をバス用道路に転換させ鉄道路線よりも低コストでの大量人員輸送を目指すもの。

 

 

そして今回、茨城交通は同「ひたちBRT」に於いて特定自動運行による営業を行うべく、2024年12月18日に茨城県公安委員会から営業車両としては国内で初めて、道路交通法に定められた特定自動運行許可を受けた。

 

撮影:前田明彦©

 

加えて旅客自動車運送事業の計画に係る変更申請も茨城運輸支局へ届出。これが2025年1月24日に認可されたことから特定自動運行旅客運送の営業運行を来たる2025年2月3日より開始する。

 

なお当該路線で実行されるレベル4の営業運行は、専用道区間約6.1kmに亘ってレベル4の自動運転を行うもの。これは現時点のリリースでは国内最長距離でのレベル4運行であり、更に国内で一般的に使用される中型バスのレベル4自動運転としての営業運行は国内初となる。

 

さてそんな今回の座組みは、当該路線に於いて経済産業省および国土交通省の支援を受け( 2018年度から )、みちのりホールディングス、国立研究開発法人産業技術総合研究所、先進モビリティ、一般財団法人日本自動車研究所、日本総合研究所と共に、「Road to the L4テーマ2コンソーシアム」として取り組む。

 

レベル4自動運転における走行路線

 

実証路線は、おさかなセンターから多賀駅前までの約8.5kmを走行する路線となる( 上記の図 )。うち、日立電鉄線廃線跡地を使用したBRT専用道区間である南部図書館~河原子( BRT )間の約6.1kmをレベル4自動運転にて走行する( BRT専用道区間以外は従来通り、ドライバーによる手動運転で運行 )。

 

今回、特定自動運行を実施するBRT専用道区間には、バス停が14箇所、一般道との交差部が11箇所、横断指導線(歩行者等の横断部)が15箇所( バス停に9箇所、走行路線上に6箇所 )含まれている( 以下写真を参照されたい )。

 

また車道と歩道の間にガードレール等がある場所や縁石のみで仕切られている場所が混在する上、手動運転バス車両とのすれ違いなど、様々な走行環境が含まれる。

 

BRT専用道内に存在する横断指導線(左)や一般道交差部(右)

 

そこで、まず導入段階ではレベル4での走行実績を積み重ねることで、今後バス車内に茨城交通の関係者が乗車しない、国内初の車内無人での路線バス営業運行を26年度中に実現していく予定だ。

 

更に同取り組みは、経済産業省が策定したデジタルライフライン全国総合整備計画のアーリーハーベストプロジェクトにも選定されているため、運行成果を一般道路へも拡張することで面的・集約的に自動運転で運行する地域となるべく、当該地域に於ける持続的な活動として取り組んでいくとしている。

 

営業運行に使用するレベル4車両の概要
ベース車両 :いすゞ エルガミオ
車両寸法: 全長︓8990mm 全幅︓2480mm 全高︓3045mm
乗車定員 :28 名(着座のみ) ※乗務員席含む
走行速度 :最大約 40km/h
センサー :LIDAR、カメラ、ミリ波レーダ、ジャイロセンサ、GPS 受信装置等

 

これまでのひたちBRTでの取り組みの経緯は以下の通り

 

 2018年度
経済産業省と国土交通省の共同事業「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」に於いて、国立研究開発法人産業総合技術研究所と共に、自動運転レベル4相当の技術を搭載した小型バスを用いて、ひたちBRTの一部路線におけるラストマイル自動運転の実証評価を実施( 走行としてはレベル2 )。

 

2020年度
経済産業省と国土交通省の共同事業「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」に於いて、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共に、中型バスの自動運転車両と路側センサー、遠隔監視装置を活用した実証を実施。

 

2021~24年度
経済産業省と国土交通省の共同事業「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」( RoAD to the L4 )のうち「テーマ2:公道交差を含む専用道区間等におけるレベル4自動運転サービスの実現に向けた取組」のコンソーシアム( 2024年度は、株式会社日本総合研究所<幹事機関>、国立研究開発法人産業技術総合研究所、みちのりホールディングス、一般財団法人日本自動車研究所、先進モビリティ )で技術開発及び事業性検討を実施してきた

 

 

 

2月3日(月)の営業運行開始に先立ち下記の通り、出発式を執り行う予定という

 

出発式
1. 日時:2025年2月2日(日)10:00-
  ※出発式後に関係者試乗会を実施
2. 場所:道の駅 日立おさかなセンター前 多目的広場
3. 主催:日立市、経済産業省、国土交通省
4. 来賓:参議院議員 上月 良祐 様
  衆議院議員 浅野 哲 様
  茨城県知事 大井川 和彦 様
  日立市議会議長 蛭田 三雄様
5. 式典内容:主催者挨拶
   来賓祝辞
   テープカット・記念撮影
   試乗会

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。