インディカー(IndyCar)は8月1日、インディカー・シリーズの2022年シーズンのマシンをハイブリッド(HV)化すると発表した。
ホンダとゼネラルモーターズ(GM)ブランドのシボレー、それぞれのエンジンと組み合わせた共通のHVシステムを開発し、エンジンとモーターで900馬力以上の出力を発揮するパワートレインを目指すと云う。
これに際して、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント(Honda Performance Development)の社長、テッド・クラウス氏は、以下のように話している。
「レースは、ホンダの新たな技術と人材の発展に、長年大きな役割を果たしており、今回の発表は、将来の自動車ビジネスにとって不可欠な、レースを通じて人と技術の発展を可能にするものです。同時に、パワートレインの電動化に対応することで、インディカー・シリーズのマシンとレースの質が向上し、すばらしいレースをファンにお見せすることができるでしょう。
インディカーのマシンにHVシステムを投入することは、ホンダが生産する自動車全体をHV化、電気自動車化することでCO2排出量を削減するという方針と通ずるものがあります。お客様が、環境に配慮したモビリティーで運転を楽しんでもらうのと同様に、HVパワーをインディカーに導入することは、ファンの皆様にさらにレースを楽しんでいただけるものになるでしょう」。
2030年までに世界自動車販売の2/3の電動化を目標に掲げるホンダは、製品の魅力を高めつつ、CO2排出量を削減するという目標を達成するため、今年初め、2モーターHVシステムの適用拡大を発表。インディカー・シリーズにおけるHVへの挑戦は、この方針をさらに推し進める機会でもあると云う。
ホンダは2015年、独自のHVパワートレイン搭載の車両でF1レースに参戦。今回のインディカーの共通HVシステムとは異なるが、導入にあたり、次世代の人材育成や開発プロセスに貢献。近年のF1等の経験は、HVシステムの普及を目指すホンダにも、インディカーの今後の戦略にもよい影響を与えるだろうとしている。
[インディカーにおけるハイブリッドシステム]
インディカーが導入を目指す共通HVシステムは、マシンのブレーキシステムからエネルギーを回収するモーター、インバーター、および蓄電デバイスで構成される。
これにより起動は、外部スターターから、コックピットのドライバー自身が行えるように。また、レース中に使用される「プッシュ・トゥ・パス」システムは900馬力超になると予想され、タイム向上にも貢献。
ドライバーがマシンを再起動できることから、マシンの立ち往生による危険を減らし、マーシャルによる復帰待ちやマシンのけん引などにともなうコーションフラッグの掲示等、レースのタイムロスも減少。その結果、ファンにとっても退屈なレースが減るというメリットが得られると云う。
インディカーの新たなパワートレイン戦略は、予定されている次世代型シャシーと合わせて、現在、投入に向けた調整が行われている。
また、シリーズに参戦するエンジンメーカーとチームが長期にわたって安定的に参戦できるよう、インディカーは、22年から27年までの6年間、新しいエンジン規制を実施すると発表している。