堀場製作所(以下、ホリバ)は7月12日、米国カリフォルニア大学アーバイン校(以下、UCI/※1)と、「HORIBAモビリティ・コネクティビティ研究所(HORIBA Institute for Mobility and Connectivity2/以下、HIMaC2)」を、現地時間7月6日に開設したと発表した。
HIMaC2は、従来異なる領域として扱われてきた電力とモビリティのコネクティビティ実現を目的に、UCIの先端電力・エネルギープログラム(Advanced Power and Energy Program/以下、APEP/※2)の中心となって、環境・エネルギー分野の研究行う施設。ホリバは、UCIへの積極的な支援継続を通じて、エネルギー、環境、安全の分野で、新しい技術とビジネス創出を目指す。
施設概要
HIMaC2は、UCI構内のエンジニアリング・ゲートウェイビル内に設置され、工学、物理科学、情報・コンピュータ科学、社会科学、ビジネスといった分野の専門家を集めた学際的研究の中心機関として、電気化学、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、エネルギーグリッド等を研究。科学者およびエンジニアは、ホリバの分析・計測機器を活用し、エネルギー・環境問題で社会が直面すると考えられる以下3つの大きな課題について、解決策を探究する。
① 温室効果ガスはもとより、スモッグ、酸性雨、健康被害の原因となる汚染物質を排出しない自動車(ゼロエミッション車)、燃料のサプライチェーン、モビリティシステムの開発。
② 風力や太陽光などの再生可能エネルギー(風力や太陽光資源)を取り入れたグリッド(送電網)とゼロエミッション車の有機的な統合。
③ 周囲の状況を感知し、交通やエネルギーインフラと交信をしつつ移動や輸送を実現する次世代輸送システムの創出。
ホリバが進めるエネルギー分野での事業戦略
持続可能な社会の実現には、エネルギーを「生産(つくる)・貯蔵(ためる)・消費(つかう)」という一連のプロセスが循環する最適なネットワークが必要であるといわれることから、ホリバは、分析・計測に特化した製品・サービス・アプリケーションを提供することで、エネルギーを賢く「つくる・ためる・つかう」社会に貢献することを目指している。
つくる:発電に伴う環境負荷のモニタリングに加え、今後消費拡大が期待される水素の製造プロセスにも計測装置を提供。
ためる:エネルギー貯蔵技術を確立するための研究開発は世界中で加速しています。電池素材開発評価を中心に様々な計測技術で貢献。
つかう:世界でエネルギー消費の効率化がさらに進むなか、効率改善に必要なデータを分析・計測技術を通じて提供。
なかでも、水素エネルギーに関して、その品質に影響する不純物を高精度に計測する装置から運送時の水素脆化を評価する装置に至るまで、同社が有する多くの「はかる」技術を提供することで、持続可能な社会の実現を支援。
エネルギーシステムの大きな構造変化により、電力・モビリティ分野、そして情報技術インフラストラクチャが一つのネットワークに統合され、さらに複雑化していくとの考えから、長期的な戦略的取り組みの一環として、HIMaC2の先駆的な研究プロジェクトを、幅広い技術でサポートしていく。
また、UCIとの継続的な人財交流を通じて、これらの分野で目覚ましい活躍ができる人財を輩出すると共に、今後もその活動を支援し、研究成果を産業分野に積極的に展開することで、社会が直面するエネルギー問題に対するより高度な技術的解決策を提案していくとしている。
※1)UCI(カリフォルニア大学アーバイン校):1965年に創設され、アメリカ大学協会(AAU)加盟校のなかで最も新しい大学。大学では、222の学位取得プログラムが提供され、3万6千人余の学生が在籍。これまでに3人のノーベル賞受賞者を輩出している。また、カリフォルニア州オレンジ郡で、2番目に多く雇用を創出。地域経済に年間約50億ドルの貢献をしている。
※2)APEP:2000年設立。発電、インフラや輸送など新たなエネルギー連携を模索する基礎研究から応用研究まで幅広く取り組み、循環型社会の実現を担う次世代の育成を通して社会に貢献。
■(ホリバ)エネルギー・環境:https://www.horiba.com/3-fields/energy-environment/
■UCI:https://www.uci.edu/
■UCIによるHIMaC2の紹介資料:http://www.apep.uci.edu/HIMaC2_Brochure.html