HRC US IMSA参戦車両「Acura ARX-06」イメージ
ホンダは9月21日、米国の四輪レース開発子会社である「Honda Performance Development(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント/以下、HPD)」が社名を、来年から「Honda Racing Corporation USA(ホンダ・レーシング・コーポレーション・ユーエスエー/以下、HRC US)」に変更すると発表した。
併せてHRC USは、北米のみならずFIA(国際⾃動⾞連盟)フォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)を含むホンダのグローバル四輪モータースポーツの活動を担当する。
これにより日本のホンダ・レーシング(HRC)と共に、独立したホンダのレース開発専門子会社としての強みを持ち寄り、ホンダの四輪モータースポーツの開発力をグローバルで高めていく構え。
ちなみにHRCは、1982年に二輪のレース用車両・パーツの開発、販売を目的として、埼玉県朝霞市で設立された。
以後40年に亘って、ロードレースやモトクロス、トライアル、ラリーレイドなど、様々なカテゴリーの世界選手権や国内選手権で勝利を獲得。2022年には、F1を含む四輪レース開発機能が合流し、栃木県さくら市を拠点とする「HRC Sakura」が設立されている。
上記により四輪レースの開発機能を有したHRCは、HRC Sakuraを中心に、「Red Bull Powertrains(レッドブル・パワートレインズ/レッドブル・グループ内でF1向けパワーユニットを開発・製造する目的で2021年2月16日に創業)」へ、F1用のパワーユニット(PU)に関する技術支援を実施。「Oracle Red Bull Racing(オラクル・レッドブル・レーシング)」のタイトル獲得に貢献した。
なお同活動は、2026年からは「Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Team(アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チーム)」へのPU供給を開始する予定だ。
対して今回社名をHRC USへする予定のHPDは、インディカー・シリーズ(以下、インディカー)へのエンジン供給を目的にホンダの米国販売子会社である「アメリカン・ホンダモーター(American Honda Motor)」の100%子会社として1993年に設立。
以後、30年に渡ってインディカーをはじめ、IMSA(国際モータースポーツ協会)ウェザーテック・スポーツカー選手権(以下、IMSA)、SCOREバハ1000への参戦をはじめ、ツーリングカーやジュニアカテゴリーレースなどにも挑戦した。
上記インディカーでは、合計410戦中180勝・13回のドライバータイトルと10回のマニュファクチャラーズタイトルに加え、伝統のインディアナポリス500マイルレース(インディ500)では佐藤琢磨選手の2回を含む15回の優勝を達成。
さらにIMSAにはアキュラ(Acura)ブランドで参戦し、2018年から現在までにデイトナ24時間レースを3度制覇、年間ドライバータイトルとマニュファクチャラーズタイトルもそれぞれ3回獲得している。
なお、新社名のHRC USとしての初レースは、来たる来年1月27日~28日にフロリダ州で開催されるデイトナ24時間レース。昨年、デビュー戦で優勝した「Acura ARX-06がHPDロゴ」を「HRCロゴ」に改め、24時間の耐久レースを戦う。
<HPD概要>
– 設立:1993年
– 本社所在地:米カリフォルニア州サンタ・クラリータ(Santa Clarita、LAから北へ約50km)
– 他施設:米インディアナ州インディアナポリス郊外にも開発拠点あり。
– 社長:デイビッド・ソルターズ(David Salters)
– 従業員数:約300名
– 資本:アメリカン・ホンダモーター100%子会社(社名変更後も変更なし)
– 参戦カテゴリー:インディカー、IMSA、SCORE バハ1000、Formula Regional America他。
– 新社名:Honda Racing Corporation USA
– 社名変更時期:2024年1月予定
[代表者のコメント]
・HRC 代表取締役社長 渡辺康治氏
「HRCブランドを高め、ホンダのモータースポーツ活動を持続していくために、日米ホンダのモータースポーツ開発力を束ねた一体運用は大きな力になるでしょう。日米HRCのエンジニアが協調すればより強くなることができると確信しています。アメリカのスタッフがHRCの仲間になることを心より歓迎します」。
・HPD社長 デイビッド・ソルターズ(David Salters)氏
「HPDには有能な技術者たちが切磋琢磨して、過去30年に渡る北米でのホンダのレーシング・ヘリテージ構築に貢献してきた実績があります。これからはグローバルなレース組織の一員として、日本のHRCメンバーと共に世界のレース界でホンダ・レーシングを体現していく役割を担うことを光栄に思います。変わらず米国でのレース活動に取り組みながら、グローバルな舞台で人と技術を磨いていきます」。