ホンダは10月21日、「シェアサイクル用2電源システム」の開発を発表した。このシステムは、モバイルバッテリーを活用し、シェアリングサービス用の電動アシスト自転車の充電残量低下を解消する。
■シェアサイクル用2電源システムの概要
・スマートフォンやPCの充電に活用できるモバイルバッテリーを、シェアサイクル用の電動アシスト自転車に接続することで、バッテリー残量や充電切れを心配することなく走行が可能。
・停車中もモバイルバッテリーから給電し続けるため、自転車本体のバッテリー残量低下を抑えることができる。
・車両の充電を含めたシェアサイクル事業者のオペレーションコストは、売上の半分以上を占めるというデータがある。システムの導入により、これらのコストを大幅に削減することが可能となり、事業収益改善に貢献できる。
昨今、都市部ではクルマや公共交通機関ではカバーできない「ラストワンマイル」の移動を担うシェアサイクルが注目され、拡大しつつある。ホンダは「自由な移動の提供」の実現にあたり、「シェアサイクル」も重要なモビリティのひとつと考えている。
一方、シェアサイクルの普及拡大に向けては、①電動アシスト自転車の充電不足で「ユーザーが乗れない」不便が発生している、②シェアサイクル事業者が車両を充電するためにコストがかかる といった課題が存在する。
ホンダは、こうした課題解決に向け、普段からモバイルバッテリーを持ち歩く人が多いことに着目。そして、モバイルバッテリーをシェアサイクル用電動アシスト自転車に接続し、車両本体のバッテリーに加えて2つめの電源として使うことで、走行時のアシストと車両本体のバッテリー充電に使用できるシェアサイクル用2電源システムを開発した。
これにより、ユーザーはコンパクトなモバイルバッテリーを持ち歩くだけで、安心してシェアサイクルを利用でき、シェアサイクル事業者も充電作業に関わるコストを大幅に削減できるようになる。
ホンダは、このシェアサイクル用2電源システムを用い、2022年中にシェアサイクル事業者と共同で実証実験を行い、将来の事業化に向けた検討を進めていくとしている。
この〝シェアサイクル用2電源システム〟の開発を手掛けた本田技研工業株式会社・執行職モビリティサービス事業本部長の高見聡氏は、「現在、都市における移動手段として利用が拡大するシェアサイクル領域ですが、事業者のオペレーションコスト削減が課題となっています。
シェアサイクル用2電源システムはシンプルなアイデアから生まれましたが、ユーザーには利便性を高め安心して利用いただくことができ、事業者の課題である充電切れ解消や電池交換コスト削減にも貢献することができると考えています。Hondaは、こうした課題解決を通じ、モビリティサービスの更なる充実にチャレンジしていきます」と話している。