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2023年3月29日【SDGs】

ホンダ、現代版〝バタバタ〟を開発・発表へ

坂上 賢治

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自転車を電動アシスト化・コネクテッド化するサービス「SmaChari」

 

本田技研工業は3月29日、自転車に取り付ける電動アシストユニットと、それに連動するスマートフォンアプリを開発。様々な自転車を電動アシスト化・コネクテッド化できるサービス「SmaChari(スマチャリ)」を発表した。

 

 

SmaChari搭載第一号となる自転車は、ワイ・インターナショナルが2023年9月に発売する予定。対象製品はHondaウエルカムプラザ青山(東京都港区南青山2-1-1/展示期間:2023年3月29日~3月31日、4月3日~4月9日)で展示される。

 

その他、東京ビッグサイトで開催される「CYCLE MODE TOKYO 2023」のHondaブース・Y’s Roadブース(西4ホール 小間番号 W-704/展示期間:2023年4月15日~4月16日)でも展示される。

 

 

様々なタイプの自転車を電動アシスト化・コネクテッド化する事が可能

 

このSmaChariは、スマートフォンアプリと自転車に取り付ける電動アシストユニットで構成されており、個々の取り付け車両のタイプに合わせて法規に準拠するアシスト出力を算出・適用させる出力制御技術により、様々なタイプの自転車を電動アシスト化・コネクテッド化する事が可能という。

 

またスマートフォンアプリを通じて、電動アシストシステムの起動や個人に合わせたアシスト出力の最適化、速度など走行状態やバッテリー残量の表示、故障の検知、走行データ管理、位置情報の共有、所有者情報の管理など、コネクテッド機能を活用したさまざまな機能・情報を利用出来るとしている。

 

 

SmaChariの開発を手掛ける事となった背景は、全国の高校約5,000校のうち、通学路に高低差50m以上の坂がある高校は約45%に達する事があった。

 

これを踏まえSmaChari開発チームが自転車で通学する全国の高校生2,708人に聞き取り調査を行ったところ、48%にあたる1,278人が自転車通学に体力的負担を感じており「電動アシスト自転車が欲しい」と回答した。

 

電動アシスト自転車は欲しいが盗難が怖くて購入に踏み切れないなどの意見も

 

一方で「電動アシスト自転車の機種が限られている」、「電動アシスト自転車は欲しいが盗難が怖くて購入に踏み切れない」などの意見も得た。

 

また、国土交通省のデータ(国土交通省ホームページ「自転車利用環境の整備」内、令和元年 年齢層別人口10万人当たり交通事故死傷者数データ)によると、人口10万人当たりの自転車乗車時の交通事故死傷者数が、全年齢の平均に対して高校生(16~18歳)は約5倍と非常に高く、そのうち半数を通学中の事故が占めている事が分かった。

 

更に自転車は販売後に定期メンテナンスなどの義務付けがなく、整備不良や故障に気づきにくい状況もある。こうした高校生の通学課題を解決し、より快適な通学環境と移動の喜びを提供する事を目指し、SmaChariのシステムが考案した経緯がある。

 

 

ホンダでは、幅広い自転車への対応とシステムの継続進化を目指す

 

今後の同プロジェクト推進にあたり本田技研工業では「SmaChariを搭載した自転車を製造・販売する企業に対して、電動アシストユニットの制御ソフトウェアに関する技術を始めとする各種ライセンスと、SmaChariを運用・管理するコネクテッドプラットフォームを有償で提供します。

 

またSmaChariを購入されるお客様へは、スマートフォンアプリをご提供し、今後、幅広い自転車への搭載を目指すと共に、システムを継続的に進化させていきます」と話している。

 

上の写真は1948年に登城したHONDAの名を冠した最初の製品、Honda A型自転車用補助エンジン。そのエンジン音から“バタバタ”と呼ばれた。Source: Honda Collection Hall

 

開発製品の特徴などの概要は以下の通り

▶快適な移動をサポート
・さまざまなセンシングデータから乗り手の意思、走行状況を判断しモーター出力を制御する機能や、きめ細やかなアシスト出力の調整機能を搭載。

 

▶安心感の向上
・乗り手がペダルに足を置いた際などに、システムがアシスト出力を制御してユーザーの予期しない急発進を抑制する機能を搭載。

 

・システムが電動アシスト機能の故障やエラーを検知してユーザーに通知。

 

・販売店は、システム上で車両組立・修理時の履歴などの車両データを管理でき、来店したユーザーに対して、車両データをもとに定期点検などの提案をすることも可能。

 

・Honda四輪車から集まる走行データ、ならびにSmaChariユーザーから収集・蓄積された走行データに基づき、急ブレーキの多い地点などで注意を喚起
セキュリティの向上。

 

・スマートフォンアプリ、オンラインアカウントを活用して自転車の所有者情報を管理。

 

・所有者情報に基づき、NFCタグを利用することで、スマートフォンをシステム起動のワンタッチキーとして使用。また、アプリでの簡単操作によりスマートフォン上でキーの貸し借りも可能。

 

・車両を手放す際には、車両譲渡の登録にも対応するため、安心して利用可能
利便性の向上。

 

・スマートフォンアプリ上でマップ、速度、走行距離、アシスト出力、バッテリー残量、消費カロリーなどを表示するとともに、走行データとして記録・管理する走行ログ機能を搭載。

 

・仲間同士での走行時や、外出したお子様の見守りなどに活用可能なSmaChariユーザー間での位置共有機能を搭載。

 

・スマートフォンアプリを介した将来的な機能追加にも対応可能。

 

 

商品名:RAIL ACTIVE-e

価格:220,000円(消費税込み)
発売時期:2023年9月(予定)
受注開始時期:2023年5月(予定)
販売:ワイ・インターナショナルが展開するスポーツ自転車専門店「ワイズロード」ならびに「ワイズロードオンライン

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。