本田技研工業(ホンダ)は6月23日、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の安全性を評価し、規格化を支援する国際団体「FAA(Federal Aviation Administration/※1)/OEM Review Panel」に、同月加入したと発表した。なお、メーカーとして同団体に加入するのはアジア初であると云う。
SAFは、植物や廃棄物など、化石由来ではない原料または持続可能な原料から生成される燃料で、従来のジェット燃料に対してCO2排出量を削減できることから、航空関連産業のカーボンニュートラル実現に寄与することが期待されている。
一方、SAFの使用にあたっては、FAA/OEM Review Panelの参加企業によって機体やエンジンへの安全性が評価されるため、米国材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)の規格として制定される必要があることから、ホンダは、今回の加入を通じて、他の参加企業と新開発されたSAFについて各種試験データのレビューを実施し安全性を評価。規格化を支援することで、その安全性と普及に貢献するとしている。
<FAA/OEM Review Panelの概要>
FAA・機体メーカー・航空エンジンメーカーで構成され、SAFの機体やエンジンへの影響を評価している国際組織。現時点の参加企業は、Boeing、Airbus、Dassault、Embraer、De Havilland、Bell Helicopter、Bombardier、Sikorsky、General Electric、Pratt & Whitney、Rolls-Royce、Honeywell、Safran、Honda。
ホンダは、サステナブルな社会の実現に向け、2050年に関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを全社目標として掲げており、航空領域では、ガスタービンと電動化技術による環境に優しい新たなパワーユニットの開発に加え、化石燃料に代わるカーボンニュートラル燃料およびCCUS技術(※2)の活用に関する研究を実施。今後は、独自の取り組みだけでなく、世界各国の企業や団体と連携を図りながら技術を進化させ、社会実装していくことでカーボンニュートラル実現を目指すとしている。
[ホンダの航空事業の概要]
ホンダは、1986年に航空機および航空機エンジンの研究を開始し、機体に於いては、独自のエンジン配置構造などを採用した小型ビジネスジェット機「HondaJet(ホンダジェット)」を開発。航空機エンジンに於いては、独自開発の「HF118」エンジンをベースに、ゼネラル・エレクトリック社(GE)と「HF120」を共同開発している。
HF120エンジン搭載のホンダジェットは、これら革新的な技術により、クラストップの燃費・環境性能を達成し、飛行に伴う環境負荷の低減に寄与。デリバリー数200機以上、総飛行時間10万時間以上に達している。
※1:米国連邦航空局。
※2:Carbon Capture, Utilization and Storage。大気中に排出されたCO2をエネルギー資源として循環活用する技術。