Honda Mobile Power Pack e:
ホンダは、着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を活用した取り組みについて説明会を実施、10月29日、その概要を発表した。
■再生可能エネルギー活用拡大に向けた取り組み~カーボンニュートラルを目指して~
・モバイルパワーパックなどを活用したバッファ機能を設けることで電力需給バランスを実現
・(バッファ機能の活用で)電力系統の充電負荷を下げ、自然条件に左右されるという再生可能エネルギーの難点に対応し、使いやすさを向上
・電力不足時におけるモバイルパワーパック貯蔵電力の電力系統への供給も検討
ホンダは、2050年にHondaの関わるすべての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラルを目指している。その実現に向けた取り組みのひとつとして、電動モビリティとエネルギーサービスをつなぎ「自由な移動の提供」と「再生可能エネルギーの利用拡大」に貢献する「Honda eMaaS(イーマース)」というコンセプトを掲げており、二輪・四輪製品の電動化やモバイルパワーパックにより電動製品の幅を広げるとともに、インフラと連携したスマートな電力オペレーションを行うことで、再生可能エネルギーの活用を拡大する。
再生可能エネルギーを電源として活用する際に問題となるのが、天候や気候、昼夜など自然条件に合わせて発電量が変動するため、電力需要に発電量を合わせることができない、といった点。電力需要に対して発電量が足りなければ停電の可能性があり、逆に発電量が多すぎれば、送電網に過大な負荷がかかるのを防ぐため送電が遮断されてしまい、せっかく発電した電力が捨てられてしまうこともある。
こうした問題を解決し再生可能エネルギーの活用を拡大するには、電力の需要と供給のバランスを取るためのバッファ機能、すなわちモバイルパワーパックなどを活用した、電力を一時的に溜める調整力を設けることが重要となる。
モバイルパワーパックの活用が広がると、例えば、昼間に太陽光発電などの発電量が多くなりすぎた時にはモバイルパワーパックがバッファとなって余剰電力を蓄電し、夕方など発電量が不足する時間帯には、昼間に溜めたモバイルパワーパックの電力を利用することでピークシフト(電力需要が最大になる時間をずらすこと)し、電力系統の充電負荷を下げることができるため、自然条件に左右される再生可能エネルギーを使いやすくなる。
また将来的には、現在開発中の、複数のモバイルパワーパックを充電できるバッテリー交換ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger e:(モバイルパワーパックエクスチェンジャーイー)」を電力系統につなぎ、電力不足時にはモバイルパワーパックに溜めた電力を電力系統に供給することも検討している。
■モバイルパワーパックの将来的な広がり
・劣化によりモビリティ用途に適さなくなったモバイルパワーパックの二次利用も検討
・業種を超えてモバイルパワーパックの活用を広げ、規格の標準化にも取り組む
ホンダは、カーボンニュートラルの実現を目指して、さまざまな製品へのモバイルパワーパックの活用拡大を進めるとともに、劣化により電池容量が減少してモビリティ用途に適さなくなったモバイルパワーパックを、家庭用の蓄電池や他の製品の電源として活用するなど、使用目的を変えた二次利用(リパーパス)も検討している。また、着脱式可搬バッテリーの規格の標準化にも取り組んでいる。
モバイルパワーパックを家庭の蓄電池として活用するシステム
利用状況モニター(上)と「Honda Power Storage e:(パワーストレージ―イー)Concept」(下)