本田技研工業(ホンダ)、MCリテールエナジー、Kaluza Japan、ALTNAの4社は12月10日、先進の充電制御技術を活用したEV充電を自動で最適化する「スマート充電」に関する実証を12月6日に開始した。同実証では、HondaのEVを実際に所有するユーザーを対象に実用性・事業性の検証を行う。
カーボンニュートラルの実現には、EVの普及促進と共に再生可能エネルギーの更なる利活用が不可欠だ。しかし一方で、再生可能エネルギー由来の電力の発電可能時間帯と実際の電力需要の間には需給ギャップが存在するため、再生可能エネルギーの活用が十分に進んでいない。
また将来的にEVの普及が進むと、夜間の自宅でのEV充電の時間帯など、特定の時間帯に電力需要が集中することで電力系統への負荷が高まることも懸念されている。こうしたことを踏まえ上記の4社は、今後のEVの普及・拡大を見据えて、電力の需給ギャップの解消や再生可能エネルギー活用の促進、また電力系統の安定化に向けた新たなエネルギーサービスの検討を進めてきた。
そうしたなかで今回の実証では、HondaのEVとKaluza Japanの先進の充電制御技術を連携。更にMCリテールエナジーとKaluza Japanのシステム連携を通じて、電力市場価格やユーザーのEV利用状況に応じて最も電力調達コストが低減されるタイミングで効率的にEVを充電する「スマート充電」サービスの顧客受容性、事業性の検証を行う。
スマート充電では、電力系統における需給が逼迫する時間帯を避ける一方、太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電余剰が発生し、電力価格が下がる時間帯を自動的に選択して充電を行う。
これにより電力系統への負荷低減、需給ギャップの縮小に加え、再生可能エネルギーの活用促進への貢献を目指す。またEVユーザーは自身で充電のタイミングを調整する手間がなくなる他、EV利用に際してのTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)が低減し、より快適かつ安価にEVを利用することが可能となる。
これに加え、EVの利用データを統計的に分析・反映することで、よりユーザーのEV利用動向に沿った充電サービス・電力プランの具現化に取り組んでいく。4社では同実証を通して得られた知見を生かして、よりストレスなくEVを利用できる環境づくりを検討。カーボンニュートラル社会に向けた課題解決に繫がる新たなスマート充電サービスの構築・提供を目指していくとしている。
実証の対象者:Hondaが製造・販売するEVを保有し、MCリテールエナジーの提供する実証用電力プランに加入する一般ユーザー(北海道・北陸・九州・沖縄地区を除く)
スマート充電サービスの仕組み
(1)実証に参加するEVユーザーは、充電を完了したい時刻をスマートフォンのアプリを通じて入力。
(2)電力系統における需給状況を反映して日々決定される電力市場価格情報と、ユーザーのEV利用情報をあわせて、充電に最適な時間帯をシステムが判断し、スマート充電計画を作成。
(3)スマート充電計画が車両に連携される。
(4)計画に沿った充電指示を行う。
(5)EVユーザーは、実際の充電状況をアプリを通じて確認できる。
各社の役割は以下の通り
ALTNA
・スマート充電機能を活用したサービス・電力プランの企画・運用
・Kaluza Japanとの連携によるスマート充電システム・アプリの開発と提供
(いずれもALTNA子会社を通じて提供)
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MCリテールエナジー
・スマート充電機能を適用する電力プランの設計・提供
・小売電気事業者としてのシステムの開発と提供
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Kaluza Japan
・MCリテールエナジーの提供する電力プランに連動したスマート充電計画の立案
・スマート充電システム・アプリの開発と提供
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Honda
・車両利用統計データに基づく電力プランの共同企画
・スマート充電機能を実装したEV充電システムの開発
・API※を活用したKaluza Japanとの連携制御開発と提供
※ API:Application Programming Interface。Hondaのコネクテッド技術を活用し、外部充電制御システムと連携