本田技研工業(ホンダ)とGM(ゼネラルモーターズ)の合弁会社FCSM(Fuel Cell System Manufacturing, LLC/同額出資で総額8500万ドル)は1月25日、ホンダとGMが共同開発した燃料電池システムの生産を開始した。
FCSMは、燃料電池システムを生産する自動車業界初の合弁会社として2017年1月に設立。米国ミシガン州ブラウンズタウンにある、70,000平方フィートの敷地を有するGMの既存バッテリーパック生産工場内に設置された。
FそのCSMで生産される燃料電池システムは、2024年内にホンダが発売を予定している新型燃料電池自動車(FCEV)へ搭載される。また更に商用車、定置電源、建設機械を加えた4つの適用領域を中心に、B to Bユーザーに向けた製品・事業への適用拡大により、水素需要の喚起を図っていく構えだという。
ホンダでは、「2050年に当社の関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルの実現を目指すと共に、製品だけでなく、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロの実現に向けて、〝カーボンニュートラル〟〝クリーンエネルギー〟〝リソースサーキュレーション〟の3つを柱に取り組んでいます。
その中で水素を、電気と共に有望なエネルギーキャリアと位置づけており、30年以上に亘って水素技術やFCEVの研究・開発をおこない、2013年からはGMと燃料電池システムの共同開発に着手し、将来の普及・活用拡大に向けてより実用的かつ低コストなシステムの開発・生産を目指し取り組んできました。
今回生産を開始した燃料電池システムは、腐食耐性の高い材料の適用などで耐久性を2倍に向上させた他、耐低温性も大幅に向上しています。
またセルシール構造の進化や、貴金属使用量の大幅な削減、大規模生産によるスケールメリットの最大化、部品調達先の共通化など、さまざまなアプローチにより開発・製造コストを削減。〝CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)<2019年モデル>〟に搭載していた燃料電池システムに対して、コストを3分の1に抑えています」と製造製品の品質と展開策も含めて説明している。
一方FCSMで社長を務めるSuheb Haq氏(ソーヘイブ・ハック)は、「この度の生産開始はGMとホンダにとって、移動を初めとする様々なエネルギー需要のカーボンニュートラル化の取り組みに於いての重要なマイルストーンとなりました。
私たちは、高品質で耐久性が高く手頃な価格の水素燃料電池システムをお客様に提供するという使命のもとに、FCSMの全員がワンチームとなって取り組みました」と製品づくりに賭ける意欲について語った。
続いて同じくFCSMに於いて副社長を務める鈴木 哲男氏は、「今回、ホンダとGMの強みを統合した強力な生産体制を作り上げました。
細部にまで拘った品質の高い量産体制を実現し、将来の水素燃料電池技術の活用と水素時代の幕開けに向けて、お客様のニーズにお応えする準備が整いました」と述べた。