本田技研工業(ホンダ)は7月4日、研究開発子会社である本田技術研究所(以下、ホンダ)が茨城県常総(じょうそう)市と、AIや自動運転などの先進技術を活用した知能化マイクロモビリティと、それらを支える“まちづくり”の実現を目指した、「AIまちづくりへ向けた技術実証実験に関する協定」を締結したと発表した。
ホンダと常総市は、少子高齢化や益々多忙になることが見込まれる未来の社会、そしてアフターコロナの社会では、マイクロモビリティによる人とモノの自由で安全な移動のニーズが増加、一方で、地域社会には、魅力ある仕事や住みやすい“まち”実現のための地域活性化が求められるとして、地域を活性化する人々の移動と暮らしの進化に向けた“まちづくり”に関する課題分析や、AI・自動運転などの先端技術を活用したアイデアの創出、その技術実証実験を実施し、新たなまちづくりの可能性を検討。協定に基づいて、以下主な取り組みを行っていく。
[取り組みの主な内容]
・「常総市まちづくり運営企画会議(コンソーシアム)仮称」を設立
ホンダと常総市の行政・市民・市内企業は、一体になって、市の課題と対策を検討しながら、“まちづくり”のアイデアを創出。「AIまちづくり」へ向けた課題分析や、AIや自動運転等の先進技術を活用した“まち”の活性化に関するアイデアの可能性を模索していく。
・知能化マイクロモビリティの進化と実現に向けた技術実証実験を市内で実施
環境に優しく、安全で自由な人とモノの移動を実現するため、市内で技術実証実験を実施。知能化マイクロモビリティの実用化に向けて、いつでも・どこでも・どこへでも“意のまま”に移動できる「搭乗型マイクロモビリティ」と、人の“歩きたい”という想いを支える「マイクロモビリティ ロボット」を活用した実証実験を、常総市にある「水海道あすなろの里」をはじめとする、実証目的に合致したフィールドで、順次開始予定。
ホンダと常総市は、新たな“まちづくり”の可能性を模索する以上の取り組みを、全く新しい“まち”をゼロから創るアプローチではなく、今ある“まち”にAI・知能化モビリティの導入により活性化する「レトロフィット(※)型アプローチ」として、2022年秋頃の開始を目指して、協議・検討を進める。
これら取り組みを通じて、常総市は、地域活性化に向けた新たな“まちづくり”による移動と暮らしの進化を、ホンダは、AI・知能化マイクロモビリティを通じて「すべての人に『生活の可能性が拡がる喜び』の提供」を、それぞれ目指していくとしている。
※ 既に存在するものを壊すことなく活かしながら、新しい技術や仕組みを用いて改装・改造することで新たな機能を持った新しいものにアップデートすること。
[各代表者のコメント]
・茨城県常総市長 神達岳志氏
「常総市は、少子高齢化や若者の流出による人口減少が著しく、地域活性化が急務の課題となっています。当市は7年前に鬼怒川の決壊による大規模な水害を経験し、復興を目指す上で、さらなる地方創生の取り組みとしてAIなどデジタル技術を活用した官民連携での取り組みを模索していました。
そしてこのたび、当市をホンダの知能化マイクロモビリティの技術実証実験のフィールドとして提供させていただくことになりました。
今後は、ホンダのモビリティをはじめとする最先端技術を思う存分発揮していただきながら技術実証実験を共に行い、常総市として新たな時代の先駆けとなるまちを目指してまいります」。
・本田技術研究所 代表取締役社長 大津啓司氏
「本田技術研究所は、意志を持って動き出そうとしている世界中全ての人を支えるパワーとなり、人々の可能性を拡げていくため、移動と暮らしの進化を支える知能化モビリティの研究を行っています。この研究には、リアルな環境で常総市の皆様のご意見・感想のフィードバックを受けながら技術進化に取り組める技術実証実験が不可欠です。
このたび、意志を持って動き出そうとしている自治体である常総市と連携し技術実証実験を行えることを大変うれしく思っています。一日でも早く皆様の生活に役立てられるよう、知能化モビリティの研究を加速していきます」。
■本田技術研究所:https://www.honda.co.jp/RandD/
■茨城県常総市:http://www.city.joso.lg.jp/index.html