日立キャピタルは、新たなモビリティソリューションの開発を目的に、オランダで交通関連などのソリューションを展開している「ARS Traffic & Transport Technology(以下、ARS社)」の子会社「Mobility Mixx(以下、MobilityMixx)」に出資し、株式の49%を取得する株式譲渡契約を、10月28日(オランダ現地時間)に締結した。
これによりMobilityMixxは、日立キャピタルの持分法適用会社に。日立キャピタルは、オランダMaaS(*1)市場での優位なポジションの確立を目指す。
2001年創業のMobilityMixxは、2018年にARS社の傘下となり、ARS社における自治体や高速道路局に混雑・渋滞緩和のサービスを提供するスマートモビリティ事業が移管された。
MobilityMixxは、独自のITプラットフォームとモビリティサービスを統合することで、顧客がスマートカード(後払いトラベルカード)やスマートフォンを用い、API(*2)対応のサプライチェーンを通じて、マルチモーダル(*3)移動ができるようなMaaS事業を提供。
また、こうしたMaaS事業とスマートモビリティ事業を組み合わせた、安価で、シームレスに利用できる交通ソリューションや、リアルタイム情報で渋滞スポットを回避する交通ルートなどを提供。さらに、顧客に最適な予算管理なども提供している。
日立キャピタルのモビリティソリューション事業本部長のサイモン・オリファントは、今回の出資に関して次のように話している。
「オランダのモビリティ市場は急速に拡大しており、欧州で最も発展した市場のひとつとなっています。ARS社とともに、当社が投資することで、MobilityMixxのモビリティ市場でのポジションはより強固なものになるでしょう。
今回の株式取得により、MobilityMixxのMaaS事業と当社の既存サービスを組み合わせることで、まずはオランダのモビリティ市場でポジションを築きたい。そして、長期的には、欧州全体で顧客にサービスを提供し、欧州モビリティ市場での確固たる地位を確立していきます」。
日立キャピタルでは「2019~2021 年度 中期経営計画」において、モビリティ(*4)を重点事業として位置付け、日本におけるパートナー企業との協創を進めるとともに、英国をはじめ、ポーランド、オランダ、ドイツ、オーストリアで事業を展開。
今後もモビリティソリューションを展開する欧州5カ国の事業基盤を強化するとともに、欧州地域におけるさらなる事業地域の拡大を通じて、その成長を図っていくとしている。
*1:Mobility as a Serviceの略で、自動車などの移動手段を、必要なときにのみ料金を支払い、サービスとして利用すること(カーシェアリングやライドシェア、オンライン配車サービスなどがある)。
*2:Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアからOSの機能を利用するための仕様またはインターフェース。
*3:効率的な輸送体系の確立と、良好な交通環境の創造をめざし、道路・航空・海運・水運・鉄道など複数の交通機関を連携させる交通施策。
*4:自動運転やカーシェアリングなど技術革新によるヒト・モノを運ぶモビリティ(移動手段)のサービス。
[欧州地域におけるモビリティソリューション展開国] (2019年10月29日現在)
<展開国、モビリティソリューション事業展開会社>
– 英国、Hitachi Capital(UK)PLC
– ポーランド、Hitachi Capital Polska Sp.z o.o.
– オランダ、Hitachi Capital Mobility Netherlands B.V.
– ドイツ、Maske Fleet GmbH
– オーストリア、Maske Langzeit-Vermietung GmbH
[MobilityMixxの概要]
– 社名:Mobility Mixx B.V.
– 所在地:オランダ王国アルメレ
– 事業内容:MaaS 事業およびスマートモビリティ事業
– 資本金:19,000ユーロ(約2.4百万円/*5)
– 設立:2001年
– 従業員数:19名(*5)
– 大株主および持株比率:
・日立キャピタル株式会社 49%
・ARS Traffic & Transport Technology B.V. 51%
*5:数値は2019年8月末時点。125円/ユーロで計算。