日野自動車は、2025年1月3日~17日、サウジアラビアで開催されたダカール・ラリー2025に「日野チームスガワラ(代表:菅原照仁氏、総監督:小木曽聡)」としてHINO600シリーズで参戦しトラック部門総合13位で完走した。
これにより日野は、1991年に日本の商用車メーカーとして初めて同ラリーに参戦して以来、連続34回完走を達成した。また、ドライバー兼代表の菅原照仁氏は、2019年に日野チームスガワラを勇退した父の菅原義正氏が持つ連続完走20回の記録に並んだ。
ダカール・ラリー2025では、走り続けるための信頼性をさらに高める改良を施し極限までロスタイムを減らすための車両の開発を行ってきたが、第8ステージから最終ステージまでトランスファの不具合に見舞われた。
しかし、メカニック陣の懸命な修復作業と選手3名の連携により、大きなトラブルを乗り越え完走を果たした。当該大会でチームは、「世界一過酷なレース」と言われる所以を身をもって痛感し、その厳しさと奥深さを改めて実感するレースになったと話している。
無事ゴールした選手たち(左から染宮弘和選手、菅原照仁選手、望月裕司選手)
また今回もレースメカニックを担うべく販社からの選抜チームが参加。人のさらなる成長・活躍の実現に向けて青森日野自動車の柏谷壮一郎(かしわや そういちろう)氏、南関東日野自動車の邵相権(しょう そうけん)氏、長野日野自動車の上原智史(うえはら ちふみ)氏の3名が国内販売会社から公募により選抜されて帯同した。
先の通り、今回はこれ以上成す術がないと思われたトランスファの破損においても、それぞれが高い技術力を発揮し、分解や使用できる部品の選定・交換、溶接加工などで新たなトランスファを組み上げ、完走に大きく貢献した。また、チームマネージャーの門馬孝之氏は、不測の事態においてもメンバーの力をより発揮できるようサポートを行い、チームのより良い環境づくりに尽力した。
喜びを分かち合う(左から)望月裕司ナビゲーター兼メカニック、門馬孝之チームマネージャー
完走を喜ぶ(左から)上原智史メカニック、邵相権メカニック、柏谷壮一郎メカニック
以下は参戦したチームメンバー達のコメントとなる
ドライバー兼代表 菅原照仁選手
今回の参戦にあたり、ご支援や応援をしてくださった方々に感謝申し上げます。最後のSSはそんな気持ちで走りました。色々なことがありましたが、トラブル対応では寒い中メカニックさんたちが頑張ってくれたりと、チーム全員にとって良い経験になったと思います。
ナビゲーター 染宮弘和選手
昨晩は残り20㎞でトランスファが壊れてスタックしてしまい、タイムはオーバーしている上に、タイムコントロールも既に閉まっていました。主催者に確認のうえ、修復後は直接舗装路に出て帰還しました。今回は後半にトラブルが集中し、メカニックの皆さんが懸命に対応してくれたおかげで、何とか完走することができました。チーム全体の総合力が確実に上がっていると感じています。
ナビゲーター兼メカニック 望月裕司選手
昨晩は大変でしたが、ビバークに戻ってからもメカニックさんたちの頑張りでギリギリ修理が間に合い、出走出来ました。自分は日野自動車の社員ですが、今回も難しい状況の中でダカールの活動を継続させてもらい、感謝しています。
開発責任者 技術統括部 ダカールチャレンジグループ 土屋拓麻選手
今回のレースでは、車両の大きなトラブルに見舞われながらも無事完走を果たすことができました。これもひとえにチームメンバー全員の努力と情熱、そして協賛会社の皆様からのご支援と温かいご声援があってこその成果です。
今後も、技術をさらに磨き上げ、QDRに優れた車づくりとチーム力の強化を図ります。引き続き、皆様のご支援とご声援をよろしくお願いいたします。
メカニック 青森日野自動車 柏谷壮一郎氏
現場にはすぐに慣れて仕事は問題ありませんでしたが、雨の夜は寒くて大変でした。後半戦は忙しかったです。
メカニック 南関東日野自動車 邵相権氏
休息日あたりから忙しくなり、これがダカール・ラリーなのだと改めて実感しました。トランスファ(のトラブル)にはじまりトランスファに終わった感じです。
メカニック 長野日野自動車 上原智史氏
想像していたよりダカール・ラリーの現場は過酷でした。良かったことも悪かったことも含めて一生に一度の経験だと思います。本当はノートラブルで走り切りたかったです。
チームマネージャー 門馬孝之氏
色々ありすぎたダカール・ラリーでしたが、みんなが元気にゴールできて本当に良かったです。もうダメかと思うような場面もありましたが、最後まで諦めずに乗り越えられたのは、チームワークのおかげだと思います。