3月1日朝10時から、岩手県内の東北道、静岡県内の新東名の約80km間で、高速道路史上初の最高速度120km/hに引き上げられた。1年間は安全性検証のための試行が続く予定だ。
東北道の試行区間は花巻南IC~盛岡南ICの約50km。新東名は新静岡IC~森掛川ICの約30km。当日の東北道の実施区間付近は天候が安定し路面には降雪がなかった。また新東名は実施区間以東で雨が降っていたが、実施区間では晴れ間も見えた。両区間ともに天候に恵まれ、10時に110km↓120km/hに移行した。
高速道路の最高速度100km/hを超える実証検討は2017年からスタートした。静岡県で11月に、岩手県で12月に、最高速度110km/hの引き上げ試行に入った。両県警では、それぞれ1年間の状況を、実施区間で発生した事故や引上げ前後の実勢速度を検討した結果、両県ともに速度引き上げが原因となる物損、人身事故はなかったと結論づけた。段階的に120km/hまで引き上げる方向性は、試行実施前に警察庁が示している。
岩手県警・高速道路交通警察隊は毎週水曜日を運転者への注意を呼び掛ける日に定めている。2月は120km/h試行区間に関係する盛岡南IC、北上IC、盛岡ICで高速道路を利用しようとする車両に注意を呼び掛けた。また、3月1日は紫波SAで、東日本高速と共にチラシなどを配布した。
静岡県警は1日に、静岡SA下り線、藤枝PA上り線、遠州森町上下線で運転者に引き上げを伝えるチラシなどを配布。
「必ずしも120km/hで走行する必要はなく、交通状況や天候に応じた速度で、法規を守って運転してほしい」(高速道路交通警察隊・奥野仁新静岡分駐隊長)と、注意を呼び掛けた。
また、最高速度120km/hでも、大型トラックや一部の中型トラックは最高速度80km/hのままだ。速度差40km/hになる。
「一番右側は追越のための車線。遅い車の追越以外の走行は控えてほしい。また、車線変更には早めのウインカー、後方の安全確認の徹底で、余裕を持った運転操作をお願いしたい」(前同)
岩手、静岡の両県警は速度超過、通行帯違反、車間距離対策を重点に、110km/h引き上げ時と同様の取締り強化を維持。大型車両専用通行帯の設置などの対策も講じる。( 取材/執筆/写真撮影、中島みなみ・中島南事務所=東京 文京)