運行開始セレモニーで挨拶をする東伊豆町 岩井町長
住民同士が支え合う共助型MaaS、静岡県東伊豆町でスタート
静岡県東伊豆町と博報堂並びに博報堂テクノロジーズは2月2日、静岡県東伊豆町片瀬・白田地区と奈良本地区の2地区に於いて、マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルひがしいず」の運用を開始した。
この「ノッカルひがしいず」は、国土交通省が定める〝事業者協力型自家用有償旅客運送(相乗り制度)〟日本第1号認定モデルの富山県朝日町「ノッカルあさひまち」の仕組みを応用したもの。国が進める〝デジタル田園都市国家構想( Type1 )〟の採択を受けた事業で、将来的には東伊豆町全域での運行を見据えている。
その内容は、ある地域住民が自ら⾃家⽤⾞を使って外出する際、近隣所在の近隣住民がついでに「乗車(乗っかる)」できる相乗り制度。正しく地域相互の助け合いの気持ちをカタチにしたサービスと言えるもの。
より具体的には、居住地区と中⼼街の区間を⾏き来する住⺠ドライバーの⾞に、自家用車を持たない同じ地域の移動希望者が文字通り「乗っかる」仕組み。ドライバーは助け合いの精神の下、自宅近隣で移動したい住民を、⾃分の⾞に乗せて⽬的地まで送迎する。対して利⽤者側は、近隣に住むドライバーの予定を確認の上で事前予約してドライバーの⾞で⽬的地まで移動する。
対象エリアや利用方法・役割分担は以下の通り
・運行エリア:片瀬・白田地区、奈良本地区(エリア間移動不可)から中心街へ
・利用方法:会員登録制
・予約方法:前日17時まで LINEまたは電話(電話は平日のみ)
・乗車方法:乗車予定時刻の5分前までに停留所で車両を待つ
・利⽤料⾦:1回200円、相乗り1人100円
・決済方法:乗車はチケット制を導入(現金利用不可)
・チケット販売場所: 役場、保健福祉センター、熱川支所
各者の役割
・東伊豆町:運⾏主体、ドライバー及び利⽤者の募集及び管理
・博報堂:サービス設計、コミュニケーションデザイン設計
・博報堂テクノロジーズ:システム開発・設計・運用
そもそも東伊豆町内に於いては、鉄道・路線バスに加えて自主運行バスやタクシーなどの公共交通が住民の移動を支えている。しかし運行本数や配車台数が少ないこと。高齢化に伴う運転免許返納者の増加が予想されるなどで、住民が移動するための手段確保が課題となっている。
そこで先の通り、国土交通省が定める〝事業者協力型自家用有償旅客運送(相乗り制度)〟日本第1号認定モデルの富山県朝日町「ノッカルあさひまち」に倣い、東伊豆町が運⾏主体として提供する公共交通サービス「ノッカルひがしいず」を立ちあげた。
この「ノッカルひがしいず」では、地域住⺠がドライバーとなって、地域住⺠同⼠が⽀え合う地域・公共型MaaS(Mobility as a Service)としての役割を担う。
まずは東伊豆町は町内各地域で「ノッカルひがしいず」に賛同するドライバーを認定。そのドライバーと利用ユーザーを博報堂DYグループが開発したシステム上でマッチングする。
利用者が乗車する停留所は、各コミュニティの生活拠点や、既存公共交通の駅やバス停など、住民が利用している地域内資産をそのまま活用する。また既存の鉄道やバスと組み合わせた利用も可能にして、住民目線で利用しやすい設計とした。
ここまで発案と運用を担って来た博報堂と東伊豆町は、「地域の生活者や交通事業者と共に〝ノッカルひがしいず〟の運行を通じ、地域交通全体としての利便性向上や移動を増加させることによる東伊豆町の交通再編を目指してまいります」と話している。