位置情報プラットフォーム提供するHERE Technologies(HERE)と村田製作所は12月6日、ジャカルタの交通渋滞を監視。ジャカルタ市当局に向けた渋滞解決のためのソリューション提供で提携することを発表した。
ジャカルタの交通渋滞は世界的にもよく知られており、ジャカルタ警察の交通課によると、ひとりの通勤利用者が1回の交通渋滞に巻き込まれる度に、およそ30分の機会損出を被っているという。結果、昨年1年間でインドネシアは推定45億米ドル(約6,600億円)の経済損失を計上することになる。
そこでHEREの地図&交通データを、LiDAR技術に長けた村田製作所のトラフィックカウンタシステムと組み合わせることで、ジャカルタ市当局は〝車両数〟〝車両分類〟〝車両の流れの方向〟〝車両速度〟などのリアルタイムデータを獲得。
これを基に〝交通量のピーク時間〟〝混雑する移動ルート〟〝交通パターン〟に関するインサイト情報を推測でき、結果、ジャカルタ市のモビリティに関わる多様な課題を積極的に予測し、対処策を打つことができるようになる。
photographer:Gunawan Kartapranata
またHEREと村田製作所が提供する交通管理ソリューションは、二酸化炭素や気圧センサーに基づく降雨を予測するなど、環境条件を測定し、浸水しているエリアだけでなく、浸水する可能性のあるエリアも含めた通行不能箇所を特定することもできるようになるという。
これにより、交通状況に応じ信号機のサイクルを変更するなど、交通量の多い道路の交通のボトルネックを軽減させ、事故を最小限に抑えるなど、交通管理にあたる情報の視覚化が実現した。
また村田製作所とHEREは、上記の交通渋滞の改善を超えて、交通渋滞を回避することによりジャカルタ全体の燃料消費量の削減にも貢献。二酸化炭素排出量の低減に繫がる効率的な移動ルートを、交通網利用者に提供できる新たな管理モデルも構築することも実現した。
そうしたなかジャカルタ市当局は、交通渋滞が発生する前段階で、最適なルートを交通網利用者へ提案するべく過去の交通データを活用する〝交通予測分析〟の導入を検討している。 また、同システムとインドネシアのスマートシティ構想を統合し、より広域での交通信号の管理システムや、駐車システム、公共交通ネットワークへと接続する計画も立ち上がりつつあるという。
この成果について村田製作所のトラフィックカウンタ事業プロジェクトマネージャー を務める津守宏晃氏は、「ジャカルタの交通渋滞緩和に向け、HEREとデジタルトランスフォーメーションの取り組みで協力できることをうれしく思います。
今回の提携以前は、デジタル化された地図の上に交通データを重ねるだけでしたが、HEREとの協働を通して、インドネシアの首都に於けるより広範な交通問題に取り組むことができ、スマートなデータ駆動型の交通管理ソリューションの可能性が広がりました」と話している。
対してHERE Japan株式会社・代表取締役社長の枝隆志氏は、 「HEREと村田製作所の戦略的パートナーシップは、テクノロジーによって都市とスマートモビリティを変革するという両社の取り組みを反映したものです。
私たちは村田製作所と提携し、ジャカルタにおける交通の視覚化と管理を強化するうえで貴重なインサイトとデータを提供できることをうれしく思います。
村田製作所とともに、この成功をインドネシアにとどまらず広げることで、世界中の多くの都市で、より持続可能で効率的な交通システムを実現できることを楽しみにしています」と語っている。