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2018年8月28日【テクノロジー】

阪神高速と東芝、仮想橋梁で車両荷重を評価する技術を開発

NEXT MOBILITY編集部

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阪神高速道路と東芝は、実在する阪神高速道路5号湾岸線東神戸大橋をコンピューター上に再現し、車両荷重が橋全体にどのような影響を及ぼすかを評価する、超大規模解析技術を開発した(図1)。

 

また、実際の複雑な形状を簡単な梁に置き換える従来のモデルと比較して、構造の細部の危険箇所を特定する精度が飛躍的に向上したモデルを用い、車両荷重による橋全体の変形が評価可能であることを実証した。

 

なお、同開発技術の詳細は、北海道大学で開催される土木学会全国大会で、8月30日に発表される。

高度経済成長期に建設された橋などの社会インフラ構造物は、経年による老朽化が進む一方で、高齢化による人手不足で、これまでの人手による点検業務などの維持管理の効率化が求められている。

 

また、橋は生活に欠かせない重要なインフラであり、地震などの自然災害発生時には橋の状態把握を迅速に行う必要がある。

 

阪神高速と東芝は、現実の製品やモノの経年劣化などの状態を忠実に再現する、デジタルツインというアプローチを橋梁に適用した、「橋梁デジタルツイン」の実現を目指すとしている。

 

この橋梁デジタルツインの実現で、経年劣化状況の診断や、維持管理業務の効率化、災害時の橋の状態把握が迅速にできるなど、より適切な防災対応が可能になると云う。

 

(図1)東神戸大橋の超大規模解析による変形シミュレーション

(図1)東神戸大橋の超大規模解析による変形シミュレーション

 

阪神高速と東芝は、2017年2月から、橋梁デジタルツインの実現に向けた超大規模解析技術に関する共同研究を開始。

 

東芝がこれまでに電子機器などの研究・設計開発で培った構造解析技術と、阪神高速の橋梁維持管理ノウハウを組み合わせ、東神戸大橋を対象に、2次元の設計図面から3次元モデルを迅速に構築する技術を開発した。

 

解析技術については、従来、複雑な断面形状を持つ構造を梁で置き換えて橋梁をモデル化していたものを、今回、細部の形状までそのまま再現した5億自由度(※)規模の超大規模解析技術を構築。

 

梁に置き換えないことで、力のかかり方や変形が、構造のどこで生じるかといった細かい分析や、精密な解析が可能になると云う。

今後は、今回の解析結果と現在実施している加速度計、変位計、風速計等から構成されるセンサーネットワークを用いた実測結果との比較を通じ、解析モデルの有効性を検証していくとともに、風や車両走行による振動、日照による温度変化で生じる伸びなど、橋梁に影響を与える様々な事象に対する解析機能の拡充を図るとのことだ。

 

(※)5億自由度:再現の細かさを表す。今回の実証では、コンピューター上で橋を8千万個の点で構成し、それぞれの点が6方向自由に動くことができるため、点の数(8千万個)×自由な方向数(6方向)で約5億としている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

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佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。