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2025年3月24日【経済・社会】

ハンコックタイヤ、サファリを含むWRC緒戦の3ラウンドを消化

坂上 賢治

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昨年までのピレリに換わり、今年から3年間に亘り国際自動車連盟(FIA)公認のFIA世界ラリー選手権(WRC)の単独タイヤサプライヤーとなったハンコックは、ラリー・モンテカルロ(1月23日から26日)、ラリー・スウェーデン(2月13日から16日)、サファリ・ラリー・ケニア(3月20日から23日)の緒戦3ラウンドを消化した。

 

この単独タイヤサプライヤー契約は、2025年から27年まで続くもので、昨年12月6日にFIA世界モータースポーツ評議会での投票によって承認された。その結果、ハンコックは最高峰のラリー1だけでなく、サポートカテゴリーであるWRC2や若手の登竜門とされるWRC3、ジュニアWRCといった育成カテゴリーのマシンへのタイヤ供給も担っていく。

 

なかでも今回、過酷で予測不可能な地形で知られるサファリ・ラリー・ケニアは、2025年WRCシーズンに於いて、ひとつの重要な節目となったと言えるだろう。このラリーでは、荒れた未舗装道路、危険な泥沼を生み出す突然の天候の変化、予測できない野生動物の存在など、ドライバーにとって厳しい課題が待ち受けていた。

 

このような過酷な状況で高いパフォーマンスを発揮するには、タイヤの並外れた耐久性と安定性が求められる。同社では、「予測不可能な天候や過酷な地形条件の中でも優れた信頼性を発揮した多目的ラリータイヤ〝ダイナプロR213〟で、イベントの安定した運営をサポートしました。

 

ハンコック&カンパニーグループのチョ・ヒョンボム会長が率いるモータースポーツ研究開発のたゆまぬ努力によって開発されたこのタイヤは、優れたグリップと正確なハンドリングにより、世界のモータースポーツの分野で競争力を再び証明しました。

 

当社は2023年以降、FIAや大手メーカーと協力してFIA認定の高性能ラリータイヤを開発し、8か国で2,000キロメートルを超える実世界テストを実施してきました。極限の状況下でも最大限のパフォーマンスを発揮するように設計されたこれらのタイヤは、世界のモータースポーツ市場におけるハンコックブランドの存在感を強化し続けていきます」とその成果を謳っている。

 

ちなみに実際のレースでは、ケニアの荒々しい地形での厳しい戦いの末、トヨタガズーレーシングワールドラリーチームのエルフィン・エバンス選手とコ・ドライバーのスコット・マーティン選手がWRC1クラスで優勝を果たした。

 

エバンス選手は、前回のラリー・スウェーデンでの優勝とシーズン開幕戦のラリー・モンテカルロでの2位フィニッシュに続き、今シーズン2度目の優勝を果たし、ドライバーズチャンピオンシップタイトルの最有力候補としての地位をさらに確固たるものにしている。

 

一方、ヒュンダイ シェル モビス ワールド ラリー チームは、2位と3位でフィニッシュし、歴史的なダブル表彰台を獲得した。これは、サファリ ラリーにおけるチーム史上最高の成績となる。今年のイベントには、昨年より33%増の25万人を超えるモータースポーツ ファンが集まり、WRCの世界的な人気の高まりを浮き彫りにした。

 

今後、2025年のWRCシーズンは、ヨーロッパ、アフリカ、南米、アジアの16か国14ラウンドに及ぶ。第4ラウンドは、スペインのカナリア諸島の一部であるグランカナリア島のイスラスカナリアスラリーで4月24日から27日に開催される。

 

この新しく追加されたラリーは、高度の変化が激しい技術的に要求の厳しいアスファルトコースを特徴としている。このラリーは雨天時には特に危険となり、ドライバーのステアリングの巧妙さが試されることになる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。