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2024年6月26日【エネルギー】

GMディフェンス、米国防総省へアルティウム技術を供与

坂上 賢治

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ゼネラルモーターズ( GM / General Motors Company )傘下のGMディフェンスLLC( GM Defense LLCは6月25日( 米ワシントン発 )、GMグループが保有する独自技術を背景に、UTA( テキサス大学アーリントン校 )、PPEL( パルスパワー・エネルギー研究所 )、NSWCPD( 海軍水上戦闘センターフィラデルフィア支部 )が米国防総省に対して担う軍事研究成果を支援するべく、GM独自であり最新鋭のUltium( アルティウム )バッテリーに係る技術供与を重ねていることを明らかにした。

 

上記GMディフェンスは、世界トップの事業規模を持つGMグルーブの一員として、国防総省が果たすべき世界規模の防衛戦略を鑑み、エネルギー並びにセキュリティ施策、車両に係る総合技術、いかなる諸外国からも影響を受けない自律性の確立などを視野に、多角的なソリューションを提供している。

 

 

そんなGMディフェンスは、 国防技術に関わるバッテリー領域の標準化を推し進めるべく、〝ジャンプスタート( JABS )〟と称する政府プロジェクトへの参加を表明。同プロジェクトにUltiumバッテリー並びにシステムを含むプロトタイプを提供した。

 

これに続き新たな「指向性エネルギーを可能にする電気自動車向けバッテリーの評価( EEVBEDE )」プロジェクトでも、米国国防総省( DoD )のエネルギーイノベーション局が、エネルギー能力改善基金( OECIF )を介して資金提供する取り組みに参画した。

 

また、GMディフェンスと並んで参画したUTAとPPELは、GMの商用自動車向けバッテリーの動的放電並びに充電工程を通した現機能と性能を理解を深めつつ、将来、同バッテリーを軍事プラットフォームで応用することを視野に関連研究を進めることになった。

 

上記を踏まえGMディフェンスが提供できる技術情報は、やはりGMに於いて最新ノウハウの塊であるUltium(アルティウム)バッテリーのアーキテクチャに立脚したもの。そんなUltiumバッテリーは、既に発生エネルギーのパワー値、並びに出力の持続性に於いても旧来型蓄電池の絶対性能を大きく超えている。

 

Ultiumバッテリーは基礎設計の段階で、拡張可能なモジュラー式プラットフォームを持ち味としているゆえに、刻々と変化するニーズへの対応や、新しい技術が利用可能になった時の適応速度も早く、それらは国防総省が抱えるエネルギー問題に係る課題解決を実現するのみならず、より大規模なエネルギー貯蔵システムの構築に於いても問題解決の糸口して貢献できるものだという。

 

そこでGMディフェンスはOECIFへのサポート提供を背景に、国防総省へGMの資産に基づくエネルギー制御技術を提供。国防総省が未来を見据えた戦略シナリオに基づき、エネルギーが制限要因になるなどの危機想定を払拭させるべく重要な役割を果たすことができると述べている。

 

今回の取り組みについてGMディフェンスで社長を務めるスティーブ・デュモント氏は、「国防総省は、数十億ドルの投資を背景にGM自身が温め・保有してきた革新的なバッテリー技術の恩恵を得ることができるでしょう。

 

GM Defenseが想定するエネルギー貯蔵ソリューションの参考レンダリング図

 

これらの技術は、戦術的な最前線の現場であろうと、世界中に点在する軍事施設であろうと、エネルギーに係る潜在能力を大幅に向上させる可能性を秘めています。

 

当社は、この重要な国家プロジェクトをサポートし、世界中の防衛施策のみならず、政府そのものを支援することになるこの役割を得られた機会を心から歓迎します」と述べた。

 

更にUTA教授でPPELのディレクターでもあるデビッド・ウェッツ氏は、「GMディフェンスと協力。Ultiumバッテリー技術をテストすることで、それらの技術が将来の戦闘用途に於ける施策構築の自由度を大きく切り拓くことになると思われ、我々はそれを嬉しく思います。

 

PPELは、高出力用途で使用されるバッテリーの限界をテストするために国防総省及び海軍研究局と長い協力関係を築いており、同技術を評価すると基に、将来の使用事例も想定し、技術領域に於ける推奨施策を作成する立場を十二分に活かしていきます」と語った。

 

最後にUTAで工学部・学部長を務めるピーター・クラウチ氏は、「UTAは産業界と協力して新技術が果たす役割を理解し、軍事分野に於ける効果の追求に尽力していきます。

 

PPEL、GMディフェンス、国防総省によるこの協力体制は、我が国の軍事力を向上させるだけでなく、我が国を取り巻く複雑な諸課題を解決するための次世代エンジニアの育成にも貢献できることでしょう」とコメントした。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。