ゼネラルモーターズ( GM / General Motors Company )傘下のGMディフェンスLLC( GM Defense LLC )は6月25日( 米ワシントン発 )、GMグループが保有する独自技術を背景に、UTA( テキサス大学アーリントン校 )、PPEL( パルスパワー・エネルギー研究所 )、NSWCPD( 海軍水上戦闘センターフィラデルフィア支部 )が米国防総省に対して担う軍事研究成果を支援するべく、GM独自であり最新鋭のUltium( アルティウム )バッテリーに係る技術供与を重ねていることを明らかにした。
上記GMディフェンスは、世界トップの事業規模を持つGMグルーブの一員として、国防総省が果たすべき世界規模の防衛戦略を鑑み、エネルギー並びにセキュリティ施策、車両に係る総合技術、いかなる諸外国からも影響を受けない自律性の確立などを視野に、多角的なソリューションを提供している。
そんなGMディフェンスは、 国防技術に関わるバッテリー領域の標準化を推し進めるべく、〝ジャンプスタート( JABS )〟と称する政府プロジェクトへの参加を表明。同プロジェクトにUltiumバッテリー並びにシステムを含むプロトタイプを提供した。
これに続き新たな「指向性エネルギーを可能にする電気自動車向けバッテリーの評価( EEVBEDE )」プロジェクトでも、米国国防総省( DoD )のエネルギーイノベーション局が、エネルギー能力改善基金( OECIF )を介して資金提供する取り組みに参画した。
また、GMディフェンスと並んで参画したUTAとPPELは、GMの商用自動車向けバッテリーの動的放電並びに充電工程を通した現機能と性能を理解を深めつつ、将来、同バッテリーを軍事プラットフォームで応用することを視野に関連研究を進めることになった。
上記を踏まえGMディフェンスが提供できる技術情報は、やはりGMに於いて最新ノウハウの塊であるUltium(アルティウム)バッテリーのアーキテクチャに立脚したもの。そんなUltiumバッテリーは、既に発生エネルギーのパワー値、並びに出力の持続性に於いても旧来型蓄電池の絶対性能を大きく超えている。
Ultiumバッテリーは基礎設計の段階で、拡張可能なモジュラー式プラットフォームを持ち味としているゆえに、刻々と変化するニーズへの対応や、新しい技術が利用可能になった時の適応速度も早く、それらは国防総省が抱えるエネルギー問題に係る課題解決を実現するのみならず、より大規模なエネルギー貯蔵システムの構築に於いても問題解決の糸口して貢献できるものだという。
そこでGMディフェンスはOECIFへのサポート提供を背景に、国防総省へGMの資産に基づくエネルギー制御技術を提供。国防総省が未来を見据えた戦略シナリオに基づき、エネルギーが制限要因になるなどの危機想定を払拭させるべく重要な役割を果たすことができると述べている。
今回の取り組みについてGMディフェンスで社長を務めるスティーブ・デュモント氏は、「国防総省は、数十億ドルの投資を背景にGM自身が温め・保有してきた革新的なバッテリー技術の恩恵を得ることができるでしょう。
GM Defenseが想定するエネルギー貯蔵ソリューションの参考レンダリング図
これらの技術は、戦術的な最前線の現場であろうと、世界中に点在する軍事施設であろうと、エネルギーに係る潜在能力を大幅に向上させる可能性を秘めています。
当社は、この重要な国家プロジェクトをサポートし、世界中の防衛施策のみならず、政府そのものを支援することになるこの役割を得られた機会を心から歓迎します」と述べた。
更にUTA教授でPPELのディレクターでもあるデビッド・ウェッツ氏は、「GMディフェンスと協力。Ultiumバッテリー技術をテストすることで、それらの技術が将来の戦闘用途に於ける施策構築の自由度を大きく切り拓くことになると思われ、我々はそれを嬉しく思います。
PPELは、高出力用途で使用されるバッテリーの限界をテストするために国防総省及び海軍研究局と長い協力関係を築いており、同技術を評価すると基に、将来の使用事例も想定し、技術領域に於ける推奨施策を作成する立場を十二分に活かしていきます」と語った。
最後にUTAで工学部・学部長を務めるピーター・クラウチ氏は、「UTAは産業界と協力して新技術が果たす役割を理解し、軍事分野に於ける効果の追求に尽力していきます。
PPEL、GMディフェンス、国防総省によるこの協力体制は、我が国の軍事力を向上させるだけでなく、我が国を取り巻く複雑な諸課題を解決するための次世代エンジニアの育成にも貢献できることでしょう」とコメントした。