ゼネラルモーターズ(GM)は、米国の電気・燃料電池(FC)トラックメーカーである「ニコラコーポレーション(Nikola)」と、戦略的パートナーシップを締結した。今後両社は、ニコラのプログラムを通じて、「ニコラBadger」と「ニコラTre」「ニコラOne」「ニコラTwo」「NZT」を含む電動ピックアップトラックのコスト削減を実現していく。
今回の契約により、ニコラは、20億ドルの新規発行普通株式と引き換えに、GMから「アルティウムバッテリーシステム」や「ハイドロテック燃料電池」といった技術・部品の供給を受け、FC技術の利用をクラス7および8のセミトラック市場に拡大。GMは、ハイドロテック燃料電池の大量生産化により、バッテリー電気自動車推進を補完し、電動ピックアップトラックの商業化を加速する。
GMには契約1年後から2025年6月までの段階的なロックアップ条項が適用される。これによりGMは、今後、「Badger」のバッテリー式電気自動車および燃料電池車の設計、認証や検証および製造を行う。ニコラは、「Badger」の販売とマーケティングを担当するが、「Nikola Badger」ブランドについては保持するとしている。
なお、今年2月に初公開された「Badger」は、12月3日~5日のアリゾナ州で開催される「ニコラワールド2020」で一般公開され、2022年後半には生産が開始される予定。
GMでは現在、自動車の航続距離の向上や手頃な価格、希少金属や高価な金属への依存度の低減を実現する、独自の「アルティウム」バッテリーの開発を進めているが、すでに自動車に見合う耐久性とエネルギー密度の大幅な向上を実証している。
提携に際して、ニコラの創業者でありエグゼクティブチェアマンのトレバー=ミルトン氏は、以下のように話している。
「ニコラは世界で最も革新的な企業の一つです。GMは、世界でもトップクラスのエンジニアリングおよび製造企業であり、これ以上のパートナーシップは夢にも思いませんでした。
この提携により、二コラのすべてのプログラム、GMの『アルティウム』バッテリー技術、数十億ドル規模の燃料電池プログラムの生産準備が整い、検証済みの部品を入手することができます。
ニコラは、何十年にもわたるサプライヤーと製造に関する知識、検証されテストされた生産準備の整ったEV推進力、ワールドクラスのエンジニアリング、投資家からの信頼といったものを即座に得ることができます。
何よりも重要なのは、GMがニコラの成功を見届けることができるという既得権を持っていることです。私たちはステークホルダーの皆様と3つの約束をしましたが、今では3つの約束のうち2つを予定よりも前倒しで果たすことができました。何とエキサイティングな発表でしょうか」。
また、GMの会長兼CEOメアリー=バーラ氏は、以下のように話している。
「この業界をリードするディスラプターであるニコラとの戦略的パートナーシップは、GMの新型『アルティウム』バッテリーとハイドロテック燃料電池システムの広範な展開を継続するものです。
私たちは、バッテリーと燃料電池のコストを削減し、収益性を高めるために規模を拡大しながら、複数の大量生産のEVセグメントで存在感を高めています。さらにGMの電動化技術ソリューションをヘビーデューティークラスの商用車に適用することは、ゼロエミッションの未来という私たちのビジョンを実現するためのもう一つの重要なステップです」。
■Nikola:https://nikolamotor.com/