ゼネラルモーターズ(GM)とホンダは、北米四輪でのアライアンス確立に向けて、幅広い協業の検討を始める覚書を締結した。なお協業は、両社の上級幹部で構成された合同ガバナンス委員会によって運営される。
アライアンスでは、北米でそれぞれのブランドで販売される車両向けの、研究開発、共同購買、及びコネクテッドサービス等の領域で、協業の可能性を検討。協業は、今年4月に両社が発表した、アルティウムバッテリーを搭載したGMのグローバルEVプラットフォームをベースに、ホンダ向けの新型電気自動車(EV)2車種を共同開発する内容を基に合意された。
GMとホンダは、今回の協業を通じて、北米の複数のセグメントにおいて、内燃機関エンジンと電動パワートレーンを含めたプラットフォームの共有に向けた検討を開始する予定。また、今後早い段階で共同開発に向けた議論を開始し、来年年初の共同作業開始を目指すとしている。
なお、GMとホンダは、20年以上前から、燃料電池やバッテリー、自動運転モビリティサービス事業専用車「Cruise Origin(クルーズ オリジン)」といった協業に取り組んでいる。
協業の合意に際して、GMプレジデントのMark Reuss(マーク・ロイス)氏は、以下のように話している。
「今回の協業は、両社のリソース活用により、将来のモビリティ技術への投資を加速することができます。両社の豊富な協業実績があれば、四輪事業において大きな相乗効果を発揮することが可能となるでしょう」。
また、ホンダ代表取締役副社長の倉石誠司は、以下のように話している。
「新たな協業を通じて、ホンダの商品独自性や優位性は維持しつつ、将来のモビリティ技術への投資に向け、最大市場の北米で大幅なコスト効率の向上が実現可能となります。これにより、強い商品、強いものづくり、強い事業を実現し、既存事業の盤石化を着実に進めていきます。今後も両社の強みを生かすことで、独自に進めるもの、協業で進めるものを見極めながら、両社でWin-Winの関係を築き、新たな価値創造に取り組んでいきます」。
[主な協業検討の領域]
■プラットフォーム共有による規模の拡大及び、パフォーマンスの向上
北米での戦略的アライアンスを通じて、車両のプラットフォーム及びパワートレーンの共有、共同購買、生産効率をはじめ、様々な領域での協業に取り組み、ベストな技術とコスト効率の向上を目指す。これにより、次世代の先進技術領域へ多くの投資を可能とする。
また、将来共同で開発するプラットフォーム及びパワートレーンに関する研究開発費用の共同負担についても検討。これにより、将来のモビリティ領域や既存四輪ビジネスのさらなる成長への投資に向けて、大幅な経営効率向上及び資本の有効活用を可能とする。
■規模と効率を高めるための共同購買
共同購買による両社それぞれの規模、知見、そして標準化手法を活用することで、更なるコスト効率化を検討。共同購買では、部品の共同調達、物流、地域ごとの戦略立案などを重点的に進めていく予定。
■研究開発とコネクテッドサービス分野における協力
先進技術の導入に効率的に取り組むため、電子プラットフォーム(※1)、次世代ADAS(※2)、インフォテインメント、コネクティビティー、V2X(※3)などの先進技術分野に関する研究開発を、両社で行う可能性について検討。
両社は、GMのコネクテッドサービス「OnStar(オンスター)」のセーフティ アンド セキュリティ機能を、ホンダ向けの新型EV2車種に組み込み、「HondaLink(ホンダリンク)」に統合することを、今年4月に発表しているが、その機能統合をベースに、両社でのOnStar活用を検討すると共に、インフォテインメントを含む将来のコネクテッドサービスについても、共同開発の可能性を検討していく。
※1:自動車の電子制御部品やソフトウェアなどの配置と構成の規則(基盤)。
※2:Advanced Driver Assistance System(先進運転支援システム)。
※3:Vehicle-to-everything(車車間/路車間通信)の略。