アウディは12月2日(ドイツ現地時間)、モータースポーツの世界で最も過酷なレースといわれるダカールラリーに、2022年よりファクトリーとして初参戦すると発表した。参戦車は電動パワートレイン搭載のプロトタイプとなり、アウディはダカールラリーに電動ドライブコンセプトで参戦する最初の自動車メーカーとなる。
この結果アウディは再びラリーの世界へと復帰することになる。過去に幅広いカテゴリーで数多くの国際的な成功を収めてきたアウディであるが、特に2014年以来、電気自動車によるレースシリーズ、フォーミュラEで成功を収めている。
最初は長年のパートナーであるABT Sportslineのチームをサポートする形で、2017年からは完全なファクトリー仕様のレースカーでフォーミュラEに参戦。この6年間で、Team Audi Sport ABT Schaeffler(チーム アウディ スポーツ アプト シェフラー)は、フォーミュラE史上で最も成功したチームとなり、12回の優勝を含む合計43回の表彰台を獲得している。
そのハイライトが、2017年に獲得したドライバーズタイトルと、ファクトリー参戦して最初のシーズンに獲得した2018年のチームタイトルだった。
こうした流れを受けた今回の挑戦について、アウディではその理由を「ダカールラリーのレギュレーションでは、搭載する技術に関して大きな自由度が認められているため」とする。
アウディでは早ければ2025年には、電気自動車とプラグインハイブリッドが販売台数の約40%を占めると予測しており、今回のラリー参戦によって量産電気自動車の開発に弾みをつけたい考え。まず今後2年間で、電動ドライブトレインとバッテリーの性能をさらに改善することを目標としている。
ちなみに今回アウディの参戦するプロトタイプには、エネルギーコンバーター付き電動パワートレイン、高電圧バッテリー、高効率なエネルギーコンバーターを組み合わせたドライブコンセプトを初採用。
まずパワフルな電動パワートレインによって駆動させておき、走行中に必要なエネルギーは高電圧バッテリーから供給する。これに効率的なTFSIエンジンをエネルギーコンバーターとして利用していく方式。これにより走行中に必要な電力を確保する仕組みだ。
なお、ダカールラリー参戦に伴い、フォーミュラEにファクトリーとして参戦するのは、2021年シーズンが最後となる。ただ、アウディが開発した新しいパワートレインは、来年以降もカスタマーレーシングに供給されていくとのことだ。
あわせて、上層部の人事についても発表があった。12月1日から、ユリウス・シーバッハは、アウディスポーツのマネージングディレクターとしての職務に加えて、アウディの国際モータースポーツ活動の責任者に就任。またアウディスポーツ責任者を約10年にわたって務め、2017年から2020年にはアウディ モータースポーツ代表を務めたディーター ・ガスは、DTMへのファクトリー参戦を無事に終了させた後に、新たな仕事に専念する予定とのことだ。