配送効率化・かんたん物流DXサービス「スグロジ」の提供を開始
ジオテクノロジーズ(杉原博茂社長CEO、東京都文京区)は10月11日、ドライバーの配送効率化をスマートフォンのみで実現する物流サービス「スグログ」の提供を開始したと発表した。初期費用ゼロ、端末不要で即日利用可能な「かんたん物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」と位置付けるサービスだ。(佃モビリティ総研・松下次男)
東京都内で開いた記者発表会でスグログについて「トラック対応カーナビゲーション」「集荷配送先情報の共有」「動態管理システム」を一つにしたシステムと強調。このようなシステムの一元化は日本で初めてという。
サービスの特徴は、トラックドライバーが業務連絡、集荷配送先情報、配送先までのナビゲーションをスマホひとつで確認でき、車両の大きさに合わせて規制情報などを勘案しながら最適ルートを案内する機能を持っているとした。
同社はもともとカーナビゲーションに地図データを提供するパイオニアの子会社としてスタート。その後、2021年にパイオニアから完全に独立し、2022年に現社名に変更した。
メタバースBUアプリケーション事業統括の豊田俊作執行役員はこのように展開してきた事業活動を背景に、今回のサービスについて「創業以来蓄積してきた地図情報のビッグデータと高精度地図やAI(人工知能)を活用した地図開発などのテクノロジーを掛け合わせたものから生まれた」と話す。
物流業界は2024年問題と言われる人件費の上昇や燃料費高騰などの影響を受け、非常に厳しい経営環境にさらされている。しかも、事業者に占める中小企業の比率は99%に上る。
このため、物流事業者の経営改善、配送効率化は待ったなしだが、経営の実態は未だに業務手続や情報伝達を紙や電話、ファックスで行うアナログ状態が大半を占める。
今回のスグロジはこれらを物流DXで一気に解決するものとし、それも初期費用、専用機不要でスマホひとつで簡単に操作できるものと強調した。
初期投資を必要とせず、スマホ一つで配送車に適した配送ルートを提案
物流に関わる業務でいえば、経営者、運行管理者、ドライバーの3者が存在しているが、籾山一俊ロジスティックスマネージャーは同サービスの開発に当たって徹底的にドライバー目線で課題対策をヒアリングし、日々の配送の効率化を目指したという。
具体的には、アナログ情報をデジタル化し、車両サイズに対応したカーナビゲーションで配送ルートを効率化することにより、配送品質向上、燃費抑制効果につなげる。さらに配送を重ねることにより、AIで一層の効率アップを目指す。
サービスはパソコンとスマホがあれば可能で、初期費用はゼロ、ドライバーまたは運行管理者一人あたり2000円の定額制で展開する。しかも、2022年12月31日までに申し込めば最大3か月間の無料キャンペーンを実施する。
また、移動すればポイントが貯まるアプリ「トリマ(トリップとマイルの造語)」とも連携させる。
スグログの販売目標については、当面1億5千万円の売り上げを目指し、それを達したあと倍々で伸ばしたいという。
更に今後自社で蓄積した人、クルマ、トラックなどの位置情報、道路、建物の地図変化情報や気象情報、危険情報を組み合わせた拡充サービスの展開を予定するほか、物流大手や配車計画システム事業者などの数社との協業を計画する。
このうち、AZ―COM丸和ホールディングスとはスグロジのプラットフォームを基に、宅配などの配送分野別に最適化したソリューションをAZ―COMブランドで展開することで合意したことを明らかにした。