ジオテクノロジーズは7月3日、AI技術を活用して道路管理の実証実験を盛岡市で開始した。この実証実験は、損傷等の欠陥がある道路を特定して迅速な補修を行うことで、市民の利益と安全を向上させることを目的としている。
寒冷地の盛岡市内では、雪融け時期や降雨後の道路に損傷が発生することが日常的に発生する。こうした道路の損傷は、車両の損傷や自転車利用者が転倒してけがをするなど市民への被害が多数出ており、これは盛岡市にとっても悩みの一つであった。
また盛岡市の市民の不満ランキングでは、穴ぼこと除雪が上位に挙げられており、四半期ごとに20~30件、年間には約80件の補修が行われると推定される(ジオテクノロジーズ独自調査)という。また怪我をした市民への賠償金、補修費用も多額になる。
そんな盛岡市が管理する道路は、路線数、路線延長ともに膨大で、道路管理者によるパトロールに加えて、市民からの発見と通報に対して早期に補修作業が行われているが、効率的な道路の維持管理と事故の未然防止を目指すためには、損傷を発見した後の補修に頼る事後対策ではなく、事前に損傷を特定し早期に対応する必要がある。
一方ジオテクノロジーズは、デジタル地図制作に係る独自の道路走行調査システムや画像処理技術などを保有。このデジタル地図制作のノウハウを活かし走行調査システムとAI画像処理技術、高精度な道路ネットワークデータを組み合わせることを盛岡市に提案した。
結果、盛岡市は既存の方法では一年近く掛かっていたところを、最短一か月ほどで穴ぼこの全域分布を正確にかつ低コストで特定することが可能となり、一定の成果を得た盛岡市では、この実証実験の成果を広く市民に伝えるため、広報活動やパンフレットに写真を掲載し、進捗状況を報告していく予定。また本実証実験事業については盛岡市が内閣府に報告する予定という。
最後にジオテクノロジーズは、こうしたデータを蓄積することにより、効率的な道路の維持管理を実現し、市が負担している管理コストの削減を目指す他、いずれは盛岡市を含む他の市区町村にも展開していく予定。
同社では「日本全国の街を安心安全に変えていくことは、ジオテクノロジーズのミッションである地球を喜びで満たすことだと考えています」と話している。