
施設内の移動で時間を浪費すると捉えず、施設内の移動体験自体を愉しんで欲しい
日本空港ビルデングが建設・管理・運営する羽田空港第2ターミナルで3月19日から、ゲキダンイイノ合同会社(関西電力株式会社100%子会社)の自動走行モビリティ「iino(イイノ)」が国内・初導入される。
2023年以降の羽田空港は、旅客利便性のさらなる向上と未来の航空需要拡大へ対応するべく、施設拡張の機運が高まっており、目下、第2ターミナルの本館と北側サテライトを接続するための施設増築の整備工事に着手している。
この増床計画により、専用バスでアクセスが必要な北側サテライトと、本館が一つの建物として繋がり直接行き来できるようになる。加えて今工事では増築部にターミナルから直接航空機へ搭乗するための搭乗口が5カ所新設される見込みだ。
そうしたなか、新たに増築された第2ターミナルに自動走行モビリティ「iino」が本格導入されることになった。この「iino」とは、自動運転を前提としているものの、これまでの「クルマ=モビリティ」の概念から掛け離れた極低速・短距離専用の電動モビリティを指す。
車両開発にあたっては、主に関西電力の若手ネットワーク「k-hack(ボトムアップ型のイノベーション・プロジェクトを自発的に立ち上げ、それを実践する若手社員達のコミュニティ)」のメンバーを中心に新たな移動サービスの実現を目指して作られたもの。
そうした取り組みから生まれた自動走行モビリティ「iino」 は、従来のモビリティのように操作方法・スピード・航続距離といった効率や利便性を求められるものでない「未知の乗り物」として、これまで神戸・三宮中央通り地下通路や大阪・御堂筋での公道走行実証実験を消化。
横浜山下公園や東京国際映画祭のような施設やイベントとの連携では、街そのものを愉しめる趣向を凝らすなど、これまで存在していなかった自動走行モビリティ像の実現に向けて、様々な検証を繰り返してきた。
ゲキダンイイノは、これらの実証実験で得られた成果・知見をもとに、街・施設、そして人と〝共存〟することによって生み出される「新しい出会い」を創出し、「より速く、より多く」ではなく、「より楽しく、より魅力ある」移動体験を提供していきたいと考えてきた。
移動手段としての効率化・最適化を求めるのではなく、移動を愉しむツールに
時速5キロ(羽田空港での運用は2.5キロ)の人が歩く速度で移動するモビリティ「iino」は、単なる移動手段としての最適化を求めたものでは全くなく、限りなく静かに刺激もなく、いわば頭を空っぽにするなどで移動体験自体を楽しんで欲しいという思いのもと誕生した「動く家具」でもあるという。
従って歩行者との共存性を考慮して、外観にはあたたかみのある木材を使用しており、乗車時の目線の高さは立っている状態とほぼ同じとなっている。そんな極低速の移動体験であるので、周囲の人とコミュニケーションも、取り易くなっているのが大きな特徴といえる。
ゲキダンイイノでは「iino」について、「あえて低速で走行し、自由に乗り降りできるというコンセプトの自動走行モビリティが〝iino〟です。どなたでも安全に乗り降りして頂けるよう、床面は可能な限り高さを抑え、センサーを踏むことで時速0.7kmまで減速するようにも設計しています。
また走行中は、やわらかなLEDライトと心地よい音楽でモビリティの存在を知らせ、周囲の安全を確保しています。車体のデザインでも、時速5キロの自動走行モビリティ「iino」を通して、走る場所の魅力を引き立て、乗る人のエモーションを掻き立てるような移動体験を生むよう腐心してきました。現在、地方自治体やまちづくり事業者と協力しながら、街と人をつなぐモビリティサービスの提供に向けた取り組みを行っています。
日本の空の玄関口としての羽田空港は、そうした街中のシチュエーションと同じく、お客さまのことを第一に考えており、〝人にも環境にもやさしい〟先進的空港の実現に向けて、日々多彩なサービスを提供している羽田空港を舞台に、搭乗までに移動を強いられる感覚で時間を浪費するとは、捉えることなく、ひとつの移動体験を愉しもうと考えて頂ければ、嬉しく思います。
導入後も内装デザインや走行ルート、速度について、〝iino〟を利用頂くお客さまからのご意見や、関係者からのフィードバックなどを咀嚼し、より一層、空港ならではの移動体験を〝どう愉しむか〟その意味と価値を追求してまいります」と話している。
羽田空港第2ターミナルへの導入する〝iino〟の詳細
・走行場所・ルート羽田空港 第2ターミナル 2階 搭乗口52番付近~47番まで
・走行時間:8:00 – 20:00
・利用方法:予約不要、無料
オープンエアで、景観を楽しみながら街を散策するように移動できる:iino type-Sとは
名称:iino type-S(イイノタイプエス)
サイズ:全長2950mm ×全幅1300mm×全高1050mm
速度:5km/h(羽田モデルは2.5km/h)
乗車人数:最大8人(羽田モデルは最大6人)
製造・開発:ゲキダンイイノ合同会社
https://gekidaniino.co.jp
参考)ゲキダンイイノによる過去の実証実験レポート
有楽町 丸の内仲通りでの実証実験:https://gekidaniino.co.jp/newsworks/daimaruyu2024/
奥入瀬渓流での実証実験:https://gekidaniino.co.jp/newsworks/oirase2024/
「御堂筋チャレンジ2023」で公道走行:https://gekidaniino.co.jp/newsworks/midosuji2/