古河電気工業(以下、古河電工)は12月7日、大林組と共同で、電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを開発し、実証試験を開始したと発表した。
開発は、電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを提供するLuup(ループ/※1)の協力を得て進められていると云う。
近年、脱炭素化への社会的関心の高まりから、電動アシスト自転車や電動キックボードのシェアリングサービスが、日本国内でも都市部を中心に展開されている。
一方で、満足度の高いサービスを提供するためには、何時でも利用できる環境づくり、とりわけ手間の掛からない充電管理が重要となるが、従来の充電池の大容量化や人が巡回して充電池を交換する対応では、機体コストの高価格化や人件費の増加が課題となる。
両社は今回、電動キックボードが送電装置の上に駐機すると自動的に充電が開始されるワイヤレス充電ポートシステムを開発。古河電工の樹脂製ケーブルトラフ「グリーントラフ(※2)」に収納した送電装置と受電機を搭載した電動キックボード、そして電源ボックスから構成されるシステムは、充電中に金属異物を加熱しにくい電界結合方式(※3)の採用により、安全性も高められていると云う。
また両社は、システムの充電と走行の実証実験を、大林組技術研究所(東京都清瀬市)にて、来年3月まで実施する。
<充電ポートシステムの特長>
・充電作業の削減
人が巡回して行っていた充電池の交換作業や、回収した電池の充電作業の削減により、充電管理にかかる運用コストを縮減。
・機体コストの削減
日々の電池交換が不要となることから、交換用の予備電池を大幅に削減。また大容量化していた電池搭載量の低減ができるため、機体コスト削減や、軽量化による燃費(電費)向上にも寄与。
古河電工と大林組は、ワイヤレス充電ポートシステムの実証を重ね、利用者と運営者にとって最適な充電システムやインフラの研究、改善を進め、2025年度の製品化を目指すとしている。
※1)Luup:先端技術を活かした安全な移動インフラの実現をめざして電動マイクロモビリティのシェアリングサービスを提供。実証実験は、同社のオープン・パートナーシップの一環として、技術協力を得て進められている。
※2)グリーントラフ:再生プラスチックを主原料とする樹脂製のケーブルトラフ。コンクリートトラフに比べて軽量で耐久性・耐衝撃性・現場加工性に優れるという特長があり、太陽光発電所や鉄道線路脇でケーブル収納に多くの採用実績がある。
※3)電界結合方式:二枚の電極板に交流を印加して発生した電界を介して電力伝送を行う方式。磁界による導体内での渦電流の発生に伴う発熱が起こらないことから、金属異物を加熱しにくいという特徴があり、また電極をアルミ板などで構成できるため軽量化が可能であり、加工性にも優れる。