富士通交通・道路データサービス(FTRD)は、スマートフォンを活用したクラウド型簡易路面診断サービス「道路パトロール支援サービス(道パト)」の機能を強化し、舗装の「『ひび割れ』および『わだち掘れ』目視補助機能」を、今年度下期から提供開始する。
道パトでは既に舗装の「平坦性」を解析する機能を提供しているが、特に都道府県において、舗装の健全性を表す三要素のうち残りの二つの要素である「ひび割れ」および「わだち掘れ」の状態把握に対するニーズが依然として多いことから、今回、これらを目視補助する機能を提供するとしている。
[背景]
国の直轄国道や都道府県および政令市管理道路の維持管理においては、従来、舗装の健全性を表す三要素である「平坦性」「ひび割れ」「わだち掘れ」を基に算出する舗装の評価指数「MCI(注1)」が利用されてきた。
しかし、MCIの算出には路面性状調査車による上記三要素の計測が必要なため、高額なコストに加え、計測から結果算出までに数か月を要するという課題がある。
これに対し、道パトは、2013年6月から「平坦性」の解析機能を提供。また昨年12月には動画を活用して目視での舗装点検を効率的に行える「舗装目視点検の動画活用サービス(以下、動画活用サービス)」をオプションとして提供している。
一方、2017年3月には国管理版の道路舗装点検要領が改定され、特に国道においてはMCIによる評価方式から「目視を基本としつつ、必要に応じて機器を用いることを妨げない」点検方式に舵がきられた。
しかし、都道府県や政令市等では、MCIおよび上記三要素に対するニーズが引き続き多く存在している。
[提供内容]
今回FTRDは、道パトのオプション機能「舗装目視点検の動画活用サービス」に、ひび割れ(三段階の区分)およびわだち掘れ(大/小)による目視補助のための情報表示機能となる「『ひび割れ』および『わだち掘れ』目視補助機能」を新たに付加。舗装の健全性を表す三要素すべての利用が可能となる。
新機能には、汎用的な機器であるスマートフォンおよびドライブレコーダーを用いた簡易な方式を採用。コストを抑えつつ計測後即日結果が得られると云う。
なお、「ひび割れ」は長崎大学との共同研究、「わだち掘れ」は岐阜大学との共同研究の成果によるものとなっている。
[道パトとは]
パトロール報告書自動作成・出力機能の他、スマートフォンに内蔵された加速度センサーで車両走行中に自動的に道路の凹凸データを収集し、地図情報と組み合わせて舗装の劣化状況を可視化するサービスで、現在(2019年8月)、53団体80サイト(国道、都道府県、市町村)が利用。国土交通省が運用する「新技術情報提供システム『NETIS』」に新技術として登録されている(NETIS番号:QS-170023-VR)。
[提供時期]
– ひび割れ目視補助機能:2019年10月
– わだち掘れ目視補助機能:2019年下期を予定
[提供形態]
道パトのオプション機能「舗装目視点検の動画活用サービス」契約で、追加費用なしで利用できる。
※タイトル画像:ひび割れ情報表示イメージ 平坦性、ひび割れ、わだち掘れの情報表示イメージ。
注1)MCI(Maintenance Control Index:舗装の維持管理指数):舗装の健全性を「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」および「平たん性」という路面性状値によって定量的に評価する指数。
[問い合わせ先]
株式会社富士通交通・道路データサービス
電話:03-6252-2360
受付時間:9時~17時(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
■(国土交通省道路局国道・防災課)舗装点検要領(平成29年3月/PDF): http://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo3_1_10.pdf