日本航空(JAL)、丸紅、JXTGエネルギー(JXTG)、日揮の4社は、廃棄プラスチックを含む産業廃棄物・一般廃棄物等から代替航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)を日本で製造・販売することについての事業性調査を、共同で実施する。
航空業界では、グローバルな航空輸送需要の拡大に伴い、地球温暖化による気候変動への対応が喫緊の課題となっており、国際民間航空機関(ICAO)は、来年以降のCO2排出削減制度(*1)を導入。代替航空燃料の使用は、CO2の排出量を削減する現実的かつ有効な手段と期待され、現在、その導入機運が高まっていると云う。
また、廃棄プラスチックの処理は社会的課題として認識されており、持続可能な社会を実現するためのより革新的な処理手法が期待されている。
今回の調査では、米国の代替航空燃料製造企業 Fulcrum BioEnergy 社(*2)の技術を活用し、現在、リサイクルできずに、国内で焼却・埋立処理されている中・低品位の廃棄プラスチックを含む産業廃棄物や一般廃棄物を原料とする「国産」代替航空燃料の製造・販売に関わるサプライチェーン構築に向けた事業性評価を実施する。
4社は、今年2月に大成建設およびタケエイと、同調査を共同で実施する覚書を締結。
参画企業はそれぞれの専門性を生かし、2月から12月にかけて、廃棄物の収集・処理システムの検討や製造プロセスの技術評価、製品のロジスティックスの評価、LCA(*3)によるCO2排出量削減効果の検証等を行う。
その後、それら調査の結果を踏まえ、今年前半には、実証設備を導入と試験の実施、2025年頃に商用機の着工を目指す。
参画企業各社は、同調査ならびにその後の事業化への取り組みを通じ、持続可能な社会の実現のため、代替航空燃料の開発・普及を推進し、航空燃料のCO2排出量削減および廃棄プラスチック問題という社会課題に対するソリューションを確立していきたいとしている。
*1:2016年にICAOがCORSIA制度(国際民間航空のためのカーボンオフセットおよび削減スキーム)を採択。2021年以降にCO2排出量を増加させない制度で、各航空会社は決められた排出枠を超えてCO2を排出した場合、必要量の排出枠を購入しオフセットする義務等が課されている。なお、ICAO認定の代替航空燃料はオフセット義務分から控除することが認められている。
*2:2018年9月にJALと丸紅が、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構と共同で出資。
*3:Life Cycle Assessment:製品やサービスのライフサイクルを通じた環境への影響を評価する手法。
■(JAL)JAL、CO2 削減に向けたバイオジェット燃料の利用を促進(2018/9/20):https://press.jal.co.jp/ja/release/201809/004884.html