アサヒグループジャパンと西濃運輸、NEXT Logistics Japan(ネクスト・ロジスティクス・ジャパン/以下、NLJ)、そしてヤマト運輸の4社は、5月17日、サステナブルな物流の実現に向け、水素を燃料とした燃料電池大型トラック(以下、FC大型トラック)の走行実証を、5月より開始すると発表した。なおFC大型トラックの走行は、日本初になると云う。
1. 背景および目的
近年、温室効果ガス排出量の削減など、サステナブルな物流の必要性が高まっている。国内商用車全体の温室効果ガス排出量は、全体の約7割(※1)を大型トラックが占めており、特に幹線輸送に使われる大型トラックには、十分な航続距離と積載量、短時間での燃料供給が求められるため、エネルギー密度の高い水素を燃料とする燃料電池システムが有効であると云われている。
以上4社は今回、トヨタ自動車と日野自動車が共同開発したFC大型トラックを各社の実際の輸送業務で使用して、水素燃料活用の可能性と実用性を検証する。
※1:日野自動車調べ(2023年3月末現在)。
2. 実証概要
(1)開始時期:2023年5月から順次開始
(2)輸送内容:
■アサヒグループ&NLJ
– 実証開始日:2023年5月19日(金)
– 実施内容:
・アサヒビール茨城工場(茨城県守谷市)でビールや清涼飲料を積み込み。
→アサヒビール平和島配送センター(東京都大田区)で洋酒やワインなどを積み込み。
→NLJ相模原センター(神奈川県相模原市)で荷下ろし。
→関西からの荷物を積み込み。
→アサヒビール茨城工場へ戻る。
■西濃運輸
– 実証開始日:2023年6月~
– 実施内容:
・東京支店(東京都江東区)近隣の水素ステーションで燃料充填。
→東京支店で荷物を積み込み。
→小田原支店(神奈川県小田原市)で当該支店分を荷下ろし。
→相模原支店(神奈川県相模原市)で当該支店分を荷下ろし。
→東京支店へ戻る。
■ヤマト運輸
– 実証開始日:2023年5月17日(水)~
– 実施内容:
・羽田クロノゲートベース(東京都大田区)近隣の水素ステーションで燃料充填。
→羽田クロノゲートベースで荷物を積み込み。
→群馬ベース(群馬県前橋市)で荷下ろし。
→群馬ベースで荷物を積み込み。
→羽田クロノゲートベースへ戻る。
(3)主な検証内容:
<運用面>
①実稼働におけるドライバーにとっての使い勝手。
②水素ステーションでの充填時間を含む運行管理。
<車両開発>
①燃料電池システムおよび電動システム全般の作動検証。
②環境や走り方の違いによる水素消費変化の把握と水素ステーションでの給水素情報の取得。
③ドライバビリティ(車両の運転操作性)や使い勝手全般に関する情報の取得。
3. 車両特長
・航続可能距離は約600km、環境性能と商用車としての実用性を兼ね備えたFC大型トラック。
・トヨタのFC技術を応用した大型トラックに最適化したFCスタック(※2)を2基搭載し、大量の水素貯蔵ができる新開発の大型高圧水素タンクを6本搭載。貯蔵した水素と大気中の酸素をFCスタックに取り込んで発電・駆動するモーターを動力源とする。
・水素充填口には、将来予定されている高速水素充填規格にも対応可能なものを装備。
※2:水素と酸素の化学反応によって電気を発電させる装置。
写真左:燃料電池システムと高圧水素タンク。右:水素充填口。
<スペック>
– 車両:
・ベース車型:日野プロフィア(FR1AWHG)
・全長/全幅/全高:11,990/2,490/3,780mm
・車両総重量:25t
– FCスタック:トヨタFCスタック(固体高分子形)
– モーター:交流同期電動機
– 燃料タンク:新開発の大容量高圧(70MPa)水素タンク
– 駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー
– 航続可能距離:約600km
※都市間・市街地混合モードでのトヨタ・日野測定値。
[問い合わせ先]
・アサヒグループホールディングス 電話:0570-00-5112(ナビダイヤル)
・西濃運輸株式会社 広報戦略課 電話:0584-82-5002
・NEXT Logistics Japan 仲間つくりDiv 電話:03-6911-1691
・ヤマト運輸 コールセンター 電話:0120-01-9625