空飛ぶクルマ(※1)を開発するSkyDriveの最高技術責任者(CTO:Chief Technology Officer)に、三菱航空機でチーフエンジニアや副社長等を歴任した岸信夫氏が、4月1日付で就任した。リーン開発(※2)を進めてきたSkyDriveにとって、航空機の開発プロセスを熟知した岸氏の今回の参加は、安全性を更に考慮した開発プロセスの実施や、機体開発を加速させるものだと云う。
また、SkyDriveは4月4日、日本初の「空飛ぶクルマ」の有人飛行試験における技術検証第一弾が完了したことを発表した。
岸信夫氏は、大阪府立大学工学部卒業。三菱重工、三菱航空機で、旅客機などの開発に37年間従事。この間先進技術実証機プロジェクトマネージャ、国内初のジェット旅客機MRJ(SpaceJet)のチーフエンジニア、技術担当副社長を歴任。
SkyDriveのCTO就任に際して、岸信夫氏は、以下のように話している。
「SPACEJET(旧MRJ)を代表とする、37年にわたる航空機開発の中で培った、型式証明、安全性検証、プロジェクトマネジメント、システムインテグレーションなどの経験、知識を、SkyDrive社が目指す『空の輸送の概念を大きく変える空飛ぶクルマの開発、実用化』に活かしていきます。
SkyDriveの社業を通じて、航空機の並みの安全性を確保したリーンな開発プロセス、先進的なコンポーネントの採用、革新的な量産プロセスなど多くの産業を巻き込む、まさに空を翔ける産業革命に貢献できればと思います」。
※タイトル写真:左から事業責任者の宮内氏、代表取締役の福澤氏、CTOの岸氏、チーフエンジニアの安藤氏。
■技術検証第一弾が完了し次なるフェーズへ
SkyDriveでは、空飛ぶクルマの開発に関して、2018年12月に無人形態での屋外飛行試験を開始し、以降、数々の技術検証を実施。そして、昨年12月から開始した有人飛行試験では、現試験機における操縦性、飛行安定性を確認し、その過程を終了した。
今後は、2つある開発プロセスの内の耐空証明フェーズへ移行して、人が操縦する事で明らかになった改善すべき特性を設計にフィードバック、2023年の実用化に向け、航空機レベルの開発管理を行っていくとしている。
※1:空飛ぶクルマは、正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」といい、電動化、完全自律の自動操縦、垂直離着陸が大きな特徴。既存の航空機に比べて低コスト・低騒音、かつ離発着場所もコンパクトになるため、日常的な空の移動を実現する新たなモビリティとして、現在、世界各国で開発が進められている。
また、次世代産業の1つともされ、その市場規模は、2040年にはグローバルで150兆円に達すると予測(Morgan Stanley調査)されている。
日本では、2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、経済産業省・国土交通省によって、2023年の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定され、都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている。
※2:トヨタ生産方式を開発工程に応用させた、プロセスから無駄を取り除くことを目的とした開発手法のこと。
[SkyDriveの概要]
– 会社名:株式会社SkyDrive
– 設立:2018年7月
– 代表者:代表取締役 福澤知浩
– 所在地:
・東京オフィス:東京都新宿区
・豊田テストフィールド:愛知県豊田市足助地区
・豊田R&Dセンター:愛知県豊田市挙母町2-1-1豊田市ものづくり創造拠点SENTAN
– 事業内容:
空飛ぶクルマ、カーゴドローン<https://www.skydrive.co.jp/pages/3434866/drone>の開発。カーゴドローンは昨年12月に予約販売開始。空飛ぶクルマについては、今年夏のデモフライトを、2023年の販売開始を予定している。
■SkyDrive:https://www.skydrive.co.jp/