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2024年3月23日【イベント】

ポルシェ963のロングランテストにベッテル選手が参加

坂上 賢治

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2022年までのF1グランプリシーンで延べ53回の優勝を積み上げてきたセバスチャン・ベッテル選手は3月22日(独・シュトゥットガルト発)、独・ポルシェAGがハイパーカークラス並びにIMSAスポーツカー選手権に投入する最新鋭の耐久マシン「ポルシェ963」の潜在能力を、スペイン・・アラゴン州テルエル県アルカニス近郊のモーターランド・アラゴン( 全長5.078キロ )で試すことを明らかにした。

 

そもそもポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ( アメリカンモータースポーツの世界で名門のチーム・ペンスキーと、ドイツ・ポルシェとで結成されたワークスチーム )は、米・独によるワークスチーム体制による参戦と、プライベートチームに車両を提供するふたつの参戦体制を準備。北米IMSAスポーツカーシリーズと、FIA世界耐久選手権WECにポルシェ963で挑む。

 

 

昨年、IMSAレースで3勝を挙げた同チームは、新たに迎えた2024年シーズンを両選手権の勝利でスタートを切った。また今年のル・マン24時間レースでは、ハイブリッドレースカーを含む参戦車両全部が、バイオ燃料での参戦になることを決めている。

 

今春、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、このスペインでの36時間に及ぶロングランテストの消化を決めるなど、精力的にル・マン24時間レースの準備を進めてきたが、これを受けて既に4度のF1世界チャンピオンに輝いたベッテル選手は今回、初経験となるルーフ付きハイパーカーのコックピットに座ることを心待ちにしているようだ。

 

そんなベッテル選手は、レーストラックでポルシェ963のステアリングを握るべく、準備を進めてきたという。

 

 

ベッテル選手は去る3月14日、マンハイムのポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ施設でオペレーションクルーと面会。翌日の3月15日にはポルシェ・モータースポーツで広範囲に亘るシミュレーターセッションを完了した。そこで彼はワークスチームのエンジニアたちと知り合い、ル・マン・プロトタイプの特別な機能と複雑な制御システムを試した。

 

明けて翌週の3月21日、彼はヴァイザッハR&Dセンターの社内テストトラックでポルシェ963を初試乗。これはF1のシングルシーターマシンで299回のF1グランプリを経験した36歳の彼にとって、とても貴重な経験になったという。

 

というのは、彼がルーフ付きのレーシングカーを運転するのは久方ぶりであるためで、過去にルーフ付きのレーシングカーのステアリングを握った機会は、レース・オブ・チャンピオンズや、デモラップ程度だったからだ。

 

 

ベッテル選手は、「ポルシェ 963については、ヴァイザッハでのロールアウトで既に車の感触を掴めてきています。これまで僕は常にシングルシーターマシンのレースシリーズを追い続けてきた訳ですが、新たな好奇心を刺激する耐久レースマシンに出会い、これを試してみようという気持ちになっています。

 

今では、アラゴンでのロングランを含めて、ポルシェ963のステアリングを握る時間を心待ちにしています。そこでは、これまでと異なるマシンセッティングを、どのように行うかなど、幾らかの慣れは必要ですが、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツチームの全員が、とてもオープンな姿勢で助けてくれることでしょう。だから、これは僕にとって全く新しい未知の経験になります」と話している。

 

対して、ポルシェ モータースポーツ副社長のトーマス・ラウデンバッハ氏は、「セバスチャン・ベッテル選手が、我々のポルシェ 963に興味を持ってくれたこと。そして我々のマシンをテストする機会を持ちたいという彼の要望に応え、当社のハイブリッド プロトタイプを愉しんで貰うことについて大きな喜びを感じています。

 

 

というのは、彼の貴重なフィードバックから多くのことを学べることは間違いからです。モーターランド アラゴンで、当社のワークス ドライバーと繰り広げる36時間のロング ランは、そのための濃密な機会を提供できるだろうと思っています。

 

ただ現時点では、我々とベッテル選手との取り組みについて、テスト以上の予定は全くなく、今回のロングドライブの後、どのような流れになるかは何も決まっていません」と説明している。

 

ちなみに同テストには、セバスチャン・ベッテル選手を筆頭に、ボルシェワークスドライバーのマット・キャンベル選手(オーストラリア)、ミハエル・クリステンセン選手(デンマーク)、フレデリック・マコヴィエツキ選手(フランス)、ケビン・エストレ選手(フランス)、アンドレ・ロッテラー選手(ドイツ)、ローレンス・ヴァンスール選手(ベルギー)が参加する。

 

なお、このロングランテストは、6月15日と16日に開催される今シーズンのハイライトであるル・マン24時間レースに向けた準備となる。過去の耐久レースシリーズで数々の栄誉を獲得し続けてきているポルシェは、去る2023年から再び挑戦し始めたワークス体制による24時間レースに、独ヴァイザッハで仕立てた3台目のハイブリッドプロトタイプを投入する予定としており、20回目の総合優勝を獲得することを目指している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。