パンクしても走行可能な「救急車・指揮車用パンク対応タイヤ」を研究開発
総務省消防庁消防大学校消防研究センター( 所在地:東京都調布市、所長:鈴木 康幸 )とブリヂストンは10月24日、パンクしても走行を続ける事が出来る「救急車・指揮車( 災害現場で指揮活動を行うための車両 )用パンク対応タイヤ」を共同研究。その後の実証実験を踏まえ、社会実装可能な技術であることを確認したと発表した。( 坂上 賢治 )
これまでの救急車や指揮車のタイヤは、災害時などで荒れた路面を走行してパンクに至った場合、タイヤが潰れて走行を続ける事が出来なかった。
しかし、今回研究開発を行った「パンク対応タイヤ」は、タイヤのサイド部分を補強する等で空気圧がゼロになっても所定のスピードで一定距離を走れるブリヂストン保有のランフラット技術を取り込む事で、パンクした後でも一定程度の距離を走り続ける事を可能とした。
但しこのランフラット技術を採用したタイヤ製品は、これまで主に乗用車向けの偏平率( タイヤの幅に対する高さの比率を表す数値 )が低いタイヤ( 偏平率40、50等 )で実用化され来たのが実情だ。
一方で車両重量が重い救急車等に使用される偏平率が高いタイヤ( 偏平率80 ) に既存のランフラット技術をそのまま採用するだけでは、タイヤがパンクした状態のたわみが大きく、走行時のタイヤの温度が高温となってしまう事からタイヤが破壊されて走行が困難となってしまう。
そこで仮に救急車両のタイヤがパンクした場合でも、傷病者を病院搬送する時、タイヤ交換を行える場所まで走行可能な仕様として時速40キロ、走行距離50キロメートルを必要性能として設定した。
その上で、最新のサイド補強ゴム技術や、タイヤサイド部の冷却技術( 表面に特殊な形状の突起を設ける事で空気の乱流を促進してタイヤを冷却するクーリングフィンを採用 )を活用。
更にタイヤ形状、パターン、部材配置等の最適化を図る事で、パンクしても走行を続ける事が出来る「救急車・指揮車用パンク対応タイヤ」を開発した。
また、このタイヤをテストコース上で実証して、その性能限界を確認すると共に、北は北海道から南は沖縄まで計5か所の消防本部で、積雪・凍結・台風時等の様々な路面状況や都市部と山間地での異なる運行状況での救急活動で実証実験( 全国5か所の消防本部の救急車・指揮車の計21台で実施/総走行距離25万㎞ )を展開した。
この結果、パンク対応タイヤへの評価( パンク対応タイヤの評価/安心感がある:82%、今後も使用したい:56%、TPMSは便利:82%、夏・冬タイヤの交換必要ないのが良い83%など )を検証。十分社会実装可能な技術であることを確認した。今後、同技術は災害現場対応の救急車等のタイヤに活用される事を視野に据えている。
「救急車・指揮車用パンク対応タイヤ」の研究開発紹介動画