F-Secure (以下、エフセキュア) は、加賀FEIとの間で日本国内での車載機器/IoTデバイス/ICS分野におけるセキュリティコンサルティングにおけるパートナーシップ基本契約の締結を行ったことを、1月28日発表した。
背景
近年、多くの自動車車両がwi-fi、Bluetoothなどを経由して車両外との通信を行う、コネクテッドカー化が進んでおり、車両はもはや複雑なソフトウェア/ハードウェアの集合体となっている。通信可能デバイスの増加とともに外部からのアタックサーフェス (攻撃可能領域) も広がってきており、2015年のジープ・チェロキーのハッキング実験などからも、車両の乗っ取りや誤作動を引き起こす攻撃も今後更に巧妙化することが想定され、車両/車載機器メーカーはデバイスの一層のセキュリティ対策を迫られることになっている。
また、一般家庭/産業において導入されるIoTデバイスの数は2015年から2020年までの5年間でほぼ倍増している。エフセキュアが2020年に行ったリサーチでは、日本の家庭においてもスマートテレビ (31%)、スマートスピーカー (21%)、ゲーム機 (45%)をはじめとするホームデバイスの普及が進んでおり、様々なルートでの個人情報の漏えいへの懸念が高まってきている。
パートナーシップについて
エフセキュアはそのサービスポートフォリオの一部としてセキュリティコンサルティング部門を持ち、ヨーロッパ/日本をはじめとする多くの自動車メーカー/ティア1サプライヤー、航空機メーカー/航空会社、船舶会社、各種IoTデバイスメーカーといった世界中の顧客企業に対して、製品/サービスの市場展開前にソフトウェア/ハードウェアの両面から脆弱性に関する診断/コンサルティングを行っている。
加賀FEI (2020年12月に富士通エレクトロニクスから社名変更) は半導体商社としてのビジネスを中心に日本の自動車/製造業に幅広い顧客を持ち、今回のエフセキュアとの協業をベースに、日本国内でセキュリティコンサルティングの提供を行っていくこととなる。
今回のパートナーシップ締結について、エフセキュアのアジアパシフィック地域担当バイスプレジデントのKeith Martin (キース・マーティン) は以下のように語っている。
「セキュリティの担保は各種デバイスメーカー/サービスプロバイダにとっては、不可欠なものです。弊社ではこれまで日本を含む全世界で、多くの顧客企業のソフトウェア/ハードウェアの脆弱性の発見、そして解決策の提供に携わってきました。自動車メーカーをはじめとして多くの世界的な製造業企業を持つ日本において更なるサービス拡張を行う上で、国内で多くの顧客を持つ加賀FEIは理想的なパートナーシップであり、協業を推進できることを嬉しく思います。」
また、加賀FEIの代表取締役社長である荻原淳二氏は両社の協業について次のようにコメントしている。「弊社はこれまでLSI・電子部品を中心とした販売活動を長年行ってきており、車載分野をはじめとする製造業のお客様と強いリレーションがございます。数年前より、お客様からセキュリティ課題に対する相談を受けるケースが増えてきており、これまで案件単位で先行してエフセキュアのコンサルティングサービスのビジネスを提供していましたが、今般、正式なパートナーシップ契約を締結し、これまで以上にお客様の課題解決へ貢献できることを大変嬉しく思います。」
– エフセキュア コンサルティングページ (英語):