EU理事会は中央欧州時の10月24日、廃棄物中の残留性有機汚染物質の限界値を引き下げる規則を正式に採択した。
現在、欧州域内に於いて持続性有機汚染物質は新製品に関しては使用されなくなったものの、防水繊維・家具・プラスチック・電子機器などの廃棄物には含まれている。
EU理事会は、廃棄物を二次原料として再利用する循環型経済を確立させるために、廃棄物中の残留性有機汚染物質に新しい制限を設ける事を決めた。同規制の採択は2022年6月21日に欧州議会との間で達した暫定的な政治的合意に続くものとなった。
EU理事会の環境会議で、アンナ・フバーチコヴァ議長( Anna Hubáčková/チェコの環境大臣 ) は、「この決定は市民と環境を保護するための重要なステップです。これらの物質の多くは過去に私たちに利益をもたらして来ましたが、それらがどれほど有害であるかについては十分な注意を払っていませんでした。
今回EUが模範を示し、リサイクル段階での制限強化の決定を下した事を誇り思います。同規制は、持続性有機汚染物質規制の付属書を改訂し、これらの物質のリストに新しい化学物質を組み入れて特定の物質の濃度限界値を強化・制限します。なおこの新しい濃度限界値は、人間の健康と環境をより確実に保護する事になります」と述べている。
同規則は、残留性有機汚染物質 (POPs) に関するストックホルム条約の下で、EUの法律を EUの国際公約に沿ったものにする事を目的としている。新しい制限は、無毒の物質循環を達成するという欧州グリーン ディールの目的と新しい循環経済行動計画と一致している。
この目的を達成するため、新しい規則はPOPs規則(残留性有機汚染物質に関する規則2019/1021)の附属書IVにいくつかの物質を追加し、その規則の附属書IVおよびVの幾つかの物質の濃度制限値が更新される。
主な関連物質は以下の通り
防水繊維や消火フォームに含まれるパーフルオロオクタン酸(PFOA)と関連化合物、電気および電子機器・車両・家具に使用されるプラスチックや織物に含まれる難燃剤ポリ臭化ジフェニル エーテル(PBDEs)
プラスチックや繊維廃棄物、建物の解体によるポリスチレン断熱材に含まれる難燃剤などのヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD)
ゴム製コンベアベルト・ホース・ケーブル・シールなどの一部のゴムとプラスチック廃棄物に含まれる難燃剤などの短鎖塩素化パラフィン(SCCPs)
灰やその他の産業廃棄物に不純物として存在するポリ塩化ジベンゾ、ダイオキシン(PCB)およびジベンゾフラン(PCDD/Fs)
繊維、焦げ付き防止の調理器具、消火泡に含まれるペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩および関連化合物。なお同規則は、欧州連合の官報に掲載されてから20日後に発効。6か月後に適用される。