エネオスの齊藤猛社長(写真左)とトヨタの佐藤恒治社長(右)
エネオス(ENEOS)は5月28日、トヨタ自動車の協力の下、水素と二酸化炭素を掛け合わせた合成燃料を使った車両のデモンストレーション走行を、トヨタ交通安全センターモビリタで実施した。水素と二酸化炭素を原料とする合成燃料は、製品ライフサイクル全体で、大きく二酸化炭素の排出量が抑えられることが魅力だ。また燃料自体の形態が液体であることから既存インフラの活用が活用出来る。
そこでエネオスは、合成燃料を提供することが業界のカーボンニュートラルに大きく貢献できると考え製品開発を推進してきた。そうしたなか先の通り28日に、自社で試作した合成燃料を使用するデモンストレーション走行式典を開催した。
エネオスの齊藤猛社長(写真左)と宮田知秀副社長(右)による合成燃料充填の様子。
この式典には、“カーボンニュートラルのための国産バイオ燃料・合成燃料を推進する議員連盟”会長の甘利明衆議院議員と、副会長の山際大志郎氏をはじめ、元F1ドライバーの山本左近氏、経済産業省副大臣の太田房江参議院議員などが来賓として参加。
当日は、トヨタ交通安全センターモビリタで合成燃料を充填したトヨタ自動車の「プリウスPHV」と「GR86」によるデモ走行を通じ、実用段階に漕ぎ着けた合成燃料の実力を披露した。
エネオスでは「エネルギーの安定供給」を実現させると共に、日本国内に於いて「カーボンニュートラル社会の実現」を目指しており、エネルギーの安定供給を保証するという自社の責務を果たす構えだ。
しかし水素と二酸化炭素を原料とする純国産合成燃料の製品化については、未だ一定の開発期間が掛かるとしており、当面は製品の提供時期としては来たる2030年を照準に据えている。但し同社としては鋭意、製品化への流れを加速させることで、一般市場への提供時期を前倒していきたいと述べた。
上記経緯から当面は、合成燃料の開発・提供だけに拘らず、再生可能エネルギー、SAF、水素、CCS、リサイクルなどの複数分野で、自社が強みを発揮できる事業領域を開拓するべく多角的に取り組んでいきたいとしている。
そのために、まずは海外から輸入する植物などを原料とするバイオ燃料や、それらにガソリンを混ぜた低炭素ガソリンを先んじて順次展開していく予定だ。