ENEOSホールディングス(以下、エネオスHD)は5月19日、発電・蓄電・照明の技術・ノウハウを駆使した製品やそれらを活用した自律型MaaS(※1)コアプロダクツの研究・開発・提供を行うMIRAI-LABO社と、バッテリー循環社会実現に向けた協業を開始すると発表した。
エネオスグループでは、分散型電源の活用を中心とした次世代エネルギー供給・地域サービスのネットワーク構築を目指しており、その一環として、オープンイノベーションによる革新的事業の創出に向けて、シェアサイクル・小型EVシェアを始めとした電動モビリティサービスの展開を見据えた実証を行っている。
一方、MIRAI-LABO社は、保有するMBMS(Multiple Battery Management System:複合バッテリー制御システム技術)を駆使し、環境に配慮したサスティナブルな自律型MaaS社会の構築を促進してきた。
両者は今回、協業を通じて、エネオスグループがサービスステーション(以下、SS)や電気事業で培ってきたノウハウや顧客基盤、シェアサイクル・小型の電気自動車(EV)シェア等の新規モビリティサービスの取り組みと、MIRAI-LABO社の強みであるバッテリー制御システム・ノウハウ等を活かし、使用済みバッテリーを評価・再活用することで、循環型社会の実現に貢献する新しい効率的なエネルギー供給の仕組み構築を目指す。
協業では、バッテリーのユース(リースやシェア等)、リユース、リサイクルが循環する仕組みとして「BaaS(Battery as a Service)プラットフォーム(※2)」を構築し、これまで1次利用にとどまっていたバッテリーを、以下の3段階で利用していくことを検討する。
・1次利用:シェアサイクル・小型EVシェアを始めとした、電動モビリティサービスで利用。
・2次利用:使用後の中古バッテリーを集積し、劣化評価を実施後、残存性能に応じて組み合わせることにより定置型バッテリーシステムとして再利用。また、ENEOSのSSや、電動モビリティステーション、商業施設や住宅等の様々な場所へ設置、利用することを検討。
・3次利用:2次利用により更に容量が低下したバッテリーは、自律型街路灯(※3)など低容量でも活用可能な用途で再利用。
さらに、3次利用を経て、寿命を迎えた中古バッテリーは、リサイクルにより資源化され新品バッテリーの材料として再利用し、将来的には、この一連の循環サイクルをクラウドシステムにより適正に一元管理し、バッテリー利用の最適化、最大化を図る。
また、定置型バッテリーシステム(2次利用)を、VPPに活用することについても、今後検討。プラットフォーム実現に向け、現在実証を行っているモビリティサービスに加え、電動バイクの活用も含めたバッテリーサービスの実証を、2022年度を目途に段階的に展開していく予定だと云う。
両社は、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基礎をつくろう」および目標12「つくる責任使う責任」につながる、バッテリーをモビリティだけに限らない多様な用途に活用し、新たな価値を提供するサービスの展開を目指すと共に、クリーンなエネルギーを活用し、防災力の高いまちづくりに貢献するバッテリーグリッドの構築に向けた取り組みを通じて、低炭素・循環型社会の実現に貢献していくとしている。
※1)自律型MaaS社会:再生可能エネルギーと蓄電システムの組み合わせによって、商用電源に依存せず、自律型のエネルギーインフラによりサービスを継続提供する新しいMaaS(Mobility as a Service)のカタチ。なお、MaaSは、従来のような車の個人所有に代わり、移動手段を必要な時にサービスとして利用すること。
※2)BaaS:ここでのBaaSは、これまで製品として販売されていたバッテリーを、リースやシェアリングなどサービスとして提供・利用する形態を指す(状態監視、2次利用、リサイクルなどバッテリーに関わる幅広いサービスを含む)。
※3:MIRAI-LABO社が開発した、EVの使用済みバッテリーをリユースした自律型街路灯「THE REBORN LIGHT」。
[各社概要]
<エネオスHD>
– 会社名:ENEOSホールディングス株式会社
– 代表者:代表取締役社長 大田 勝幸
– 所在地:東京都千代田区大手町1-1-2
– 事業内容:
エネルギー事業、石油・天然ガス開発事業、金属事業を行う子会社およびグループ会社の経営管理ならびにこれに付帯する業務。
– 設立日:2010年4月1日
<MIRAI-LABO社>
– 会社名:MIRAI-LABO株式会社
– 代表者:代表取締役 平塚 利男
– 所在地:東京都八王子市千人町 3-3-20
– 事業内容:
発電・蓄電・照明の技術・ノウハウを駆使した製品の開発・製造・販売及びそれらを活用した自律型MaaS(Mobility as a Service)コアプロダクツの研究・開発・提供
– 設立日:2006年4月6日
■MIRAI-LABO:https://mirai-lab.com/