エネオス(ENEOS)と三菱ケミカルは7月20日、三菱ケミカルの茨城事業所においてプラスチック油化共同事業を開始すると発表した。
事業では、茨城事業所に商業ベースでは国内最大規模となる年間2万トンの処理能力を備えるケミカルリサイクル設備を建設。2023年度に廃プラスチックの油化を開始することを目指す。
エネオスと三菱ケミカルは、2019年に鹿島コンプレックス(LLP)を共同設立し、茨城県鹿島地区での石油精製および石油化学事業における更なる連携強化について検討を開始。その一環として、廃プラスチック問題が世界的課題となっていることを踏まえ、プラスチック製造のサプライチェーンに関する事業者として循環型社会形成に貢献することをテーマの一つに据え、ケミカルリサイクルの技術検討を進めてきた。そして今回、これら検討の結果として、共同事業に関する合意に至った。
共同事業では、外部から調達した廃プラスチックを、英国Mura Technology社の超臨界水技術を導入した新設備で化学的に液化し、油化処理を行う。
製造された油(リサイクル生成油)は、両社の既存設備である石油精製装置およびナフサクラッカーにて、原料として使用。これらが、石油製品や各種プラスチックへと再製品化されることで、高効率なケミカルリサイクルの循環を実現する。
両社は今後、原料廃プラスチックの安定調達、サーキュラーエコノミーに係る認証(※)を取得するなど、製品の高付加価値化や次世代事業としての更なる技術的知見の習得を図る。
エネオスと三菱ケミカルは、循環型社会の形成につながる共同事業を通じて、引き続き持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の目標12「つくる責任使う責任」の達成に確実に貢献していくとしている。
※プラスチック製品へのケミカルリサイクル品認証および石油製品への温室効果ガス削減などの認証。
[会社概要]
<鹿島コンプレックス>
– 名称:鹿島コンプレックス有限責任事業組合(LLP)
– 設立日:2019年11月15日
– 所在地:茨城県神栖市東和田
– 出資金:2,000万円
– 出資比率:ENEOS 50%、MCC 50%
■連携強化検討の対象事業所
・鹿島製油所(鹿島石油株式会社および鹿島アロマティックス株式会社)
– 所在地:茨城県神栖市東和田4番地
– 操業開始:1970年4月
– 原油処理能力:203.1千バーレル/日(コンデンセート処理能力35.1千バーレル/日を含む)
– 主要生産品目:石油製品、石油化学製品(パラキシレン等の芳香族製品)
・ 茨城事業所(三菱ケミカル株式会社)
– 所在地:茨城県神栖市東和田17番地1
– 操業開始:1970年4月
– エチレン生産能力:564千トン/年
– 主要生産品目:石油化学製品(エチレン・エチレン誘導品、プロピレン・プロピレン誘導品等)
■Mura Technology:https://muratechnology.com/