東京電力ホールディングス系のeモビリティパワー( e-Mobility Power / 本社:東京都港区 代表取締役社長:四ツ柳 尚子 )と、東京・ロンドンに拠点を構えて電力・ガスなどのエネルギー事業支援サービスを展開するエネチェンジ ( ENECHANGE / 本社:東京都中央区 代表取締役CEO:城口洋平、代表取締役COO:有田一平 )は2月9日に都内で報道陣を募り、両社の充電ネットワーク連携に係る業務提携契約を締結した事を発表した。( 坂上 賢治 )
より具体的には、日本国内に於ける「電気自動車用充電インフラの速やかな整備」、「EV・PHVユーザーの利便性向上」、「持続的な設備投資とサービス提供の実現」などにに向けて、長期的に協調して取り組む事にした。
ENECHANGEの城口洋平 代表取締役CEO
これにより最も早い段階でeMPことeモビリティパワーのユーザーは、今年の4月からエネチェンジの充電器を利用出来るようになる( 4月時点で1000基程度になる見込み / エネチェンジの城口洋平CEO )。
両社のうちエネチェンジについては、2021年11月から〝EV充電エネチェンジ〟のサービス名称で6kWの普通充電器の設置を全国に拡大中だ。
短期的には、2023年第2四半期までに3000台の設置を目指した進捗率が83パーセント。更に2027年度までに最大300億円を投じて3万台の6kW普通充電器を設置する計画だ。
そんな同社のサービスロジックは、ユーザー向けの専用アプリを介して会員登録や月会費の支払いを行わずとも専用アプリの利用により充電器をいつでも利用できる事が特徴となっている。
ただエネチェンジ独自のアプリの利用については、事前の用意など利用ユーザーに対して手間の掛かる印象を与えがちでもあった。
e-Mobility Powerの四ツ柳尚子 代表取締役社長
一方で、eMPは2021年4月に合同会社日本充電サービスからEV・PHV充電ネットワーク事業を承継。現在、自動車メーカー各社の発行するEV・PHV充電カードで利用可能な急速充電器7800基・普通充電器1万2600基の充電ネットワークを構築済みだ。
そんなeMPの課題は、2013年頃からの補助金効果で設置が加速化されて来た設備機器の老朽化が進み( 3G回線のネットワーク停波の流れもそれに拍車を掛けている )、充電器の更新が必要になっているという課題があった。
そうした中、自動車メーカー等の充電カードを所有する自動車ユーザーから所有する充電カードを用いてエネチェンジの充電器を利用したいという声( EVSmartによるEVユーザー調査 / 方法:インターネット調査、実施期間:2023年1月27日~1月31日、回答数:498 )が上がっていた。
そこで両社は、そうした自動車ユーザーが求める声に応える形で提携。自動車メーカー各社やeMPなどが発行する全ての充電カードで使える充電器に、新たにエネチェンジの6kW充電器が加わえる事とした( 2023年4月に運用開始予定 / 但し、個別の充電器の施設設置者が両社との提携を望まない場合など、一部カード利用が出来ない充電器も残る )。
これによりエネチェンジの充電器でeMPの充電カードが使える事になり、1枚のカードの利用拡大が果たせるだけでなく、充電カードに含まれる利用料金も活かせる事になる。なおこれに伴う各充電カードで設定されている利用料金に変更はない。
ちなみに提携カード含むeMPカードで利用出来るエネチェンジブランドの充電器は、カード認証機能付きの充電器に限られる。
結果これらの仕様連携によりeMPにとっては、普通充電器の更新や新設をエネチェンジに任せる事でが出来る事から、eMPは今後、急速充電器に事業リソースを集中していく。
加えて今後は、設置充電器毎の利用回数データを共同で分析。設置場所選定の参考にするという。またエネチェンジはeMPと協調し、設置から8年が経過した普通充電器を保有する設置者( 施設オーナー )に対し、エネチェンジが展開する6kWの普通充電器への置き換え( アップグレード )を提案する。
両社は会見に於いて同合意に至った経緯について、充電器を10年以上など長期に亘ってオペレーションしていく事が必要だと考えて提携を行ったと述べている。
しかし実際には、双方の提携にあたっては課金に係る収益分配や、充電器の利用者情報に係る課題など様々な障壁があったと思われ、提携に至る過程に於ける多様な課題を乗り越えたであろう事は推察される。
これからは、両社それぞれが得意とする役割を担い合う事により「カード一枚で、どこでも充電出来る」世界の維持していくという。
その目的のひとつとして例えば、既存の急速充電器の大幅な出力拡大が求められている中で、両社は未来に向けて充電インフラ網自体の拡充と併せて、EV・PHVユーザーが求める利便性向上という課題も同時に達成していきたいと話していた。