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2023年2月9日【エネルギー】

エネチェンジとeMP、両社のEV充電ネットワーク連携へ

坂上 賢治

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東京電力ホールディングス系のeモビリティパワー( e-Mobility Power / 本社:東京都港区 代表取締役社長:四ツ柳 尚子 )と、東京・ロンドンに拠点を構えて電力・ガスなどのエネルギー事業支援サービスを展開する​エネチェンジ ( ENECHANGE / 本社:東京都中央区 代表取締役CEO:城口洋平、代表取締役COO:有田一平 )は2月9日に都内で報道陣を募り、両社の充電ネットワーク連携に係る業務提携契約を締結した事を発表した。( 坂上 賢治 )

 

より具体的には、日本国内に於ける「電気自動車用充電インフラの速やかな整備」、「EV・PHVユーザーの利便性向上」、「持続的な設備投資とサービス提供の実現」などにに向けて、長期的に協調して取り組む事にした。

 

ENECHANGEの城口洋平 代表取締役CEO

 

これにより最も早い段階でeMPことeモビリティパワーのユーザーは、今年の4月からエネチェンジの充電器を利用出来るようになる( 4月時点で1000基程度になる見込み / エネチェンジの城口洋平CEO )。

 

 

両社のうちエネチェンジについては、2021年11月から〝EV充電エネチェンジ〟のサービス名称で6kWの普通充電器の設置を全国に拡大中だ。

 

 

短期的には、2023年第2四半期までに3000台の設置を目指した進捗率が83パーセント。更に2027年度までに最大300億円を投じて3万台の6kW普通充電器を設置する計画だ。

 

 

そんな同社のサービスロジックは、ユーザー向けの専用アプリを介して会員登録や月会費の支払いを行わずとも専用アプリの利用により充電器をいつでも利用できる事が特徴となっている。

 

ただエネチェンジ独自のアプリの利用については、事前の用意など利用ユーザーに対して手間の掛かる印象を与えがちでもあった。

 

e-Mobility Powerの四ツ柳尚子 代表取締役社長

 

一方で、eMPは2021年4月に合同会社日本充電サービスからEV・PHV充電ネットワーク事業を承継。現在、自動車メーカー各社の発行するEV・PHV充電カードで利用可能な急速充電器7800基・普通充電器1万2600基の充電ネットワークを構築済みだ。

 

 

そんなeMPの課題は、2013年頃からの補助金効果で設置が加速化されて来た設備機器の老朽化が進み( 3G回線のネットワーク停波の流れもそれに拍車を掛けている )、充電器の更新が必要になっているという課題があった。

 

 

そうした中、自動車メーカー等の充電カードを所有する自動車ユーザーから所有する充電カードを用いてエネチェンジの充電器を利用したいという声( EVSmartによるEVユーザー調査 / 方法:インターネット調査、実施期間:2023年1月27日~1月31日、回答数:498 )が上がっていた。

 

 

そこで両社は、そうした自動車ユーザーが求める声に応える形で提携。自動車メーカー各社やeMPなどが発行する全ての充電カードで使える充電器に、新たにエネチェンジの6kW充電器が加わえる事とした( 2023年4月に運用開始予定 / 但し、個別の充電器の施設設置者が両社との提携を望まない場合など、一部カード利用が出来ない充電器も残る )。

 

これによりエネチェンジの充電器でeMPの充電カードが使える事になり、1枚のカードの利用拡大が果たせるだけでなく、充電カードに含まれる利用料金も活かせる事になる。なおこれに伴う各充電カードで設定されている利用料金に変更はない。

 

 

ちなみに提携カード含むeMPカードで利用出来るエネチェンジブランドの充電器は、カード認証機能付きの充電器に限られる。

 

 

結果これらの仕様連携によりeMPにとっては、普通充電器の更新や新設をエネチェンジに任せる事でが出来る事から、eMPは今後、急速充電器に事業リソースを集中していく。

 

加えて今後は、設置充電器毎の利用回数データを共同で分析。設置場所選定の参考にするという。またエネチェンジはeMPと協調し、設置から8年が経過した普通充電器を保有する設置者( 施設オーナー )に対し、エネチェンジが展開する6kWの普通充電器への置き換え( アップグレード )を提案する。

 

 

両社は会見に於いて同合意に至った経緯について、充電器を10年以上など長期に亘ってオペレーションしていく事が必要だと考えて提携を行ったと述べている。

 

しかし実際には、双方の提携にあたっては課金に係る収益分配や、充電器の利用者情報に係る課題など様々な障壁があったと思われ、提携に至る過程に於ける多様な課題を乗り越えたであろう事は推察される。

 

 

これからは、両社それぞれが得意とする役割を担い合う事により「カード一枚で、どこでも充電出来る」世界の維持していくという。

 

その目的のひとつとして例えば、既存の急速充電器の大幅な出力拡大が求められている中で、両社は未来に向けて充電インフラ網自体の拡充と併せて、EV・PHVユーザーが求める利便性向上という課題も同時に達成していきたいと話していた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。